TEXTILE DIVER 布を探しに

布につながるすべての感覚をひろげて 

移りゆき

好きな時に空を飛んだり、好きな時に海を渡ったり、そんなことが好きなように出来なくなってから一番時間をついやしたことは修理です。古い布を扱い、古いビルに身を寄せ、古くなっていくカラダに居座りつづける。時間は成長を共にしますが、成長という変化は古くなっていくことの分かち合いです。
古くなったものや壊れたものを修理しながら、そのまた先の移りゆきを待ち望みます。

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ティモールのクパンでどっさり買い物をした人々の荷物が積み込まれた船に乗ってヘロン島に向かいます。行きは段ボールのあいだにうずくまりのほほーんとした船旅でしたが、ヘロン島からの帰りは空も海も全部灰色になってぼんやりなんてしてられない、心境も景色も来た時とはまるで違う様相になっていました。同じ場所、同じ道でも時間同様に移りゆくのです。


夢うつつうつらうつら

なかば冬眠状態、気が付けば2022年ははじまっていて1月も三分の二が過ぎています。
目を覚まして近所をあてなく歩いてみたりして、ふたたび眠気に襲われ布団に潜り込んだりして。
現実でも夢でも、近くの人々遠くの人々の柔らかい気配に心はぷくぷくふくらんで内部は満たされます。
いつもノロノロスタートですけど、布へ一歩二歩三歩、、、、今年もみんなで一緒にね。

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あるがままの風景

見晴らしの良い丘の上で機に掛けた経糸に模様のための緯糸を一本づつ、一段づつ巻き付け布を織っています。仕事の内容と気配から彼女自身、または娘のための布を織っているのが伝わってきます。
「布はありますか?」と声をかけるとアトニ語で娘に話しかけ、娘は茅葺屋根が地面まで達した丸い家のなかから黒いレーヨン素材の擦り切れてぼろぼろになった布を持ち出してきて、木に掛けます。谷間から吹き上げた風が娘のスカートと風を揺らします。

どうしてここでこうして布を織っているのか、彼女の気持ちは彼女だけのものです。

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「布伝説」ギャラリーうつわノート 川越

9日間全日在廊、時間にすると約50時間、布につながるすべての感覚をひろげ皆さまとご一緒にさぼる暇なく想像の階段を駆けのぼりました。楽しい時間をありがとうございます。
うつわノートの松本さんが作ってくれた豪華な案内状にタイトル、そして佇まいの美しい空間に案内状と連動して一点一点飾られた布はいつも以上にその役を魅力的に演じていました。
織り、染め、刺繍、皮や木や紙に従事する方々、そしてコレクターに研究者に清らかな心の布フェチさま、皆さまの専門的な知識と純粋な探求心を浴びて、布仕事に拍車がかかりますますその気になります。今日はちょっぴり自慢顔、お許し下さいませ。

2021年最後の会、良い会にしていただきありがとうございます。すべての物、事に感謝します。

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「布伝説」ギャラリー うつわノート 川越

「布」は身近にある自然の恵みを材料にして人類が生み出した道具のひとつです。土地により獣の毛、蚕の吐き出す糸、植物の樹皮や繊維を撚ったり績んだりして糸にし、その糸をたてよこ交差させることで糸の線が面になります。

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「布伝説」
ギャラリー うつわノート 川崎
2021年12月18日(土)~26日(日)
(最終日は11時~17時まで)

20年前に出会った布、2年前に出会った布、20年以上お付き合いのある方、はじめての方、布と人が時間の層になって美しい織物が織り続けられています。
本日最終日、強い風が吹いています。風に背中を押され進むときも、風に押し戻されて立ち止まるときもあるけど、風はいつも何かを運んで来てくれます。
皆さま、良い一日を織りなしてくださいね。