TEXTILE DIVER 布を探しに

布につながるすべての感覚をひろげて 

織物以前 タパとフェルト

EARLY CLOTH  TAPA and FELT


布のはじまりを求めて 古くからの豊かな不織布の世界をめぐる


LIXIL GALLERY 2018年2月24日(土)まで



明日1月27日(土)は福本繁樹さん(染色家家、民族藝術学会理事)と岩立広子さん(岩立フォークテキスタイルミュージアム館長)の対談があります。


織物以前のはなし フィールドワークから。お二人のおはなし、楽しみです。


 


 

衣の原点ー南太平洋諸島の樹皮布、編布などー岩立フォークテキスタイルミュージアム

In a begining clothes-South Pacific Islands


2017年11月30日ー2018年3月17日 木・金・土曜日 10時ー17時開館


岩立フォークテキスタイルミュージアムで「衣の原点ー南太平洋諸島の樹皮布、編布」の展示会が始まりました。南太平洋諸島の文化を研究され樹皮布の蒐集家でもある福本繁樹さんと岩立フォークテキスタイルミュージアム館長岩立広子さん、糸の布の道を、それぞれの関心で歩いてきたお二人のコレクションが一堂に展示され、いつもとは違う熱を感じます。寒い寒い冬に、樹皮布の文様から弾けるような南太平洋の人々の生の歓び、そして調査と蒐集に取り組むお二人の”布”への思いが館内に満ちていました。


樹皮布とは字の通り”樹”の“皮”の”布”です。樹皮と樹皮布では何が違うのかというと、樹皮が木の皮その物ならば、樹皮布は剥いだ木の内皮の白い部分を木や石の鎚で叩くことで樹皮の繊維を絡めて伸ばし布にしていきます。樹皮布は樹皮紙とも呼ばれるように、紙は靭皮繊維をバラバラにしてから漉くのに対して、樹皮紙は叩くことで繊維を解し紙と同じように仕上げることができるのです。もちろん樹皮布のほうが手間はかかりますが、高度な技術を持って叩いた樹皮布・樹皮紙は漉いた紙とほとんど見分けがつきません。そして叩き方で粗い毛布のようにも、薄い紙のようにも、しなやかな皮のようにもなります。


織物の素材になる木綿・麻・絹・毛はそれらの繊維を紡いだり績んだりして一本の糸にして行きますが、繊維を糸にしないで布にするのはまさにフェルトと同じ仕組みです。


5000年前とも6000年前ともいわれる中国南部で生まれた樹皮布は南太平洋諸島に伝わりエレガントに制作されてきました。トントントンと樹皮布を打つ音は、太古から変わらず美しい音を奏でているのです。


身に纏うために人類は古代からあらゆる工夫をしてきました。”衣の原点”もののはじまりは、ものの考え方のはじまりを知る手掛かりにもなります。



2018年2月3日(土)10:30-11:30から、インドネシアのスラウェシ島中部に残る樹皮布のお話しをさせていただきます。ものの、布のはじまりを一緒に考える機会になれば嬉しいです。どうぞ宜しくお願いします。


 


 


 


 


 


 


 


 


 

インドネシア 島々の絣 芹沢銈介美術工芸館 

東北福祉大学 芹沢銈介美術工芸館で10月3日からはじまった「インドネシア 島々の絣」の展示目録を観て来た方から頂きました。スンバ、サウ、ロティ、ロンブレン、カリマンタン、スマトラ、スラウェシ、バリ、チモール、ボルネオ(マレーシア)となじみの島々が列挙し、絣布とその他に土器や写本などを含む全63点が展示されているようです。まずビックリしたのはそのうちの三分の一にあたる23点がチモールとなっていて、男性用肩掛・腰布、女性用筒型スカート、キンマ用バック、首前飾り、土器とありました。次に慌てふためいたのは”首前飾り”。アイテムの珍しさもさる事ながら、そこに”刺繡”の言葉を見つけたからです。腰機文化のティモールでは機で、織りで、文様を地織りをしながら一緒に織り込み、本来刺繡技術は伝統にはありません。刺繡は布と針があってはじめて刺すことができ、布も針もない、そして刺繡を知らない人々は一見刺繡のように見える表現すべてを機で織りあげてきました。稀にあとから刺した布もありますがそんな布は伝統とはちょっと離れた刺した人の好奇心に溢れ微笑ましくなります。芹沢銈介の蒐集品”ティモールの刺繍の首前飾り” 会期は2018年2月1日(木)まで、どんなものなのか気になってソワソワします。雪の仙台、東北新幹線でぴゅーっと行かなくてはなりません。



 

白の刺子 カンターベンガルでの出会い 岩立フォークテキスタイルミュージアム

岩立フォークテキスタイルミュージアムで4月6日から始まった「白の刺子 カンターベンガルでの出会い」。今日はカンタ刺繡家、望月真理さんの講演を聴きに伺った。
世界のカンタ蒐集家と世界のカンタ刺繍家。
まさに出会ってしまったカンタに導かれるように愛情をこめて蒐集と研究を続ける岩立さん、布と針と糸を手にご自分でカンタ刺繍の技術を習得されいまだ実験を繰り返される望月さん。お二人ともただただ自分の心に忠実に長い道を歩かれてこられた。
望月さんのお話しは「触ってください、触って触って、これは書けないの、口では言えないの」とご自身が持参されたカンタコレクションを席に回して下さることから始まった。それは彼女のカンタの学び方が触ることだから。

カンタとは、岩立さんの「インド大地の布」には、白木綿の刺子、お金を持つことを許されなかった女たちは身近にある使い古しの白いサリーやドーティー(腰巻)を数枚重ね、古いサリーから抜き取った色糸で刺し、最後は余白の部分を白糸で丹念に、さざ波のように縫い締め、丈夫にしたもの、とある。このカンタの定義は基本として覚えておかなければややこしいことになる。市場で商品名として〝カンタ″と呼ばれる布との違いを多少でも理解しておいたほうがやっぱり良い。商品、作品として布が、技術が継承されるのはとても大切なことだけど、ことの始まりを知っていると、もっともっと興味はわいてくる。布がこの先どんな途を辿るのか、目撃者として立ち会うことになるのだから。

ノートに走り書きした望月さんの言葉の一部をご紹介。申込受付のその日で定員になったそうな、来れなかった方のために。
「手のひらで見てください、自分の手のひらで見るしかないのよ」「手のひらときちんと相談、間違いは思ぬ発見がある。間違えれば解けばいい」「規則正しくすると上手くいきません」「8時間睡眠、8時間刺繍、8時間家事」「20分、30分といかに上手に時間をためるか」「終わらせない、いつでも続く」「やりたくてやりたくて仕方ないの」・・・・岩立さんの美しい古いカンタにぐるっと囲まれて、望月さんの口からポンポン飛び出す言葉は、まるでカンタが、カンタを刺したベンガルの女性たちが話してくれてるような気持ちになる。

「使い古しの白い布を探すのは大変、でも白くて古くて柔らかい布でなくてはカンタは刺せない」と望月さん。異国の文化に魅せられて、独学でカンタ刺繍を極めた。ベンガルでは失われつつある技術を日本で継承される。
「ベンガルの風土から生まれたモスリン、サリーやドーティの一枚布を身に纏う民族文化があったから使い古しの白い布を使用したカンタが生まれた」と岩立さん。失われる民族染織への、そして人類への思いが蒐集を駆り立てた。
刺繡家と蒐集家、カンタへの向き合い方は違うけど、高い高い上のほうではひとつ。

展示されているカンタにはもちろん触ることはできないけど、耳を傾ければ、心を重ねたなら、布は必ず何かを語りかけてくれる。そして運が良ければ、岩立さんの声がお話しが聴けるかも。布好き民族日本人が唯一民族染織に定期的に触れられる場所。好きな展示会なら何度でも行きたくなる。こちらの気持ちや体調が変われば、布はまたきっと違う語りをしてくれる。聞こえるか聞こえないかは試してみないと、やってみないとわからない。「やってみないとわからない」この言葉も望月さん、何度も何度もおっしゃっていた。なんでもそう、自分で、自分でやってみないとわからない。


第11回展 白の刺子 カンターベンガルでの出会い
2017年4月6日ー7月15日 木・金・土曜日ー10時ー17時