

布につながるすべての感覚をひろげて
講演会
各回予約制で定員40名、参加費2,500円。
ご予約は8月6日(火)~電話にてお受けします。
(事務局03-3718-2416/10:00~17:00/日・月は休み
9月3日(火)13:30-15:30
「西ティモール アトニ人の衣文化」
講師|岡崎 真奈美
10月8日(火)13:30=15:30
「模様に託す思い ヌサ・トゥンガラ諸島の人々と、スマトラ島のランプン人」
講師|渡辺 万智子
ギャラリートーク
いずれも予約不要で当日10:30-11:30に展示品を中心に解説します。
会費200円(別途入館料)友の会会員は無料です。
8月17日(土)/10月19日(土)岡崎真奈美(ティモール テキスタイル)
9月21日(土)/10月26日(土)内村航(当館学芸員補)
第14回展 Indian Woodblock Prints
2018年4月5日ー7月14日 木・金・土曜日 10時ー17時開館
岩立フォークテキスタイルミュージアム「インド木版更紗ー村々で出会った原形」がはじまりました。3階までの階段を上ると、表情のある木綿に茜で堅牢に染められた木版更紗が出迎えてくれます。「憧れの木版更紗・・・」心の内に湧く言葉は、島の外から運ばれて来た布に恋焦がれたインドネシアの人々の気持ちへと重なります。インドネシアを布を探して歩いていると「カイン インディア、カイン インディア」という言葉をよく耳にします。他の東南アジア諸国ではめったにないことです。カインは布でインディアはもちろんインドのこと。これらの布は古くはアラブやインド商人よって、そして16世紀に入るとポルトガルやオランダの西洋諸国によって香辛料貿易の最大の交易品としてインドネシアに運びこまれました。いつも、どうしてインドネシアの島々の人々はインド木版更紗にこれほど熱狂したのかと考えていましたが、岩立フォークテキスタイルミュージアムに展示されたラジャスタンの村々で作られた木版更紗の文様の多様さと生命力が吹き上げるような茜の赤に純粋に人間の心が昂るのを感じるのです。今まで見たこともない華やかな文様と艶やかな赤に魅了されないはずはありません。西洋諸国の熱望する胡椒・丁子・ナツメグ、そしてそれらの資源を所有する島の人々は”布”を交換に望みました。相手の要望する布を作ることの可能であったインド木版更紗の生産力と技術の背景にある長い歴史を改めて確認します。木綿や染料の材料があり、媒染の知識と技術を持ち、そして文様を表現する能力、これらのすべての要素が一枚の木版更紗になって海を渡ったのです。染織の情報がギュッと一杯詰まった布はインドネシアの染織文化の歴史に大きな影響を与えました。
1995年に2か月ほどラジャスタンとグジャラートを歩いたことがあります。その時、あまりの染織の奥深さに手の付けようもないままにその土地を離れたことが思い出されます。その後にマレー半島を南下し、インドネシアのスマトラから東へ東へと移動し最東端のティモール島に辿り着きました。ティモール島、そこには何もなかったのです。原始機での織物以外は、一枚布を纏う以外は何もなかったのです。それ以来インドへは一度も行く機会もなく、わたしはティモールからいつもインド染織に憧憬の念を抱いていました。インドネシアの人々がそうであったように。岩立広子編集「インド 沙漠の民と美」はずっとずっと大切な一冊です。
6月23日(土)10:30-11:30、インドからインドネシアに渡った更紗についてお話しをさせていただきます。地図にも載っていないようなインド・ラジャスタンの小さな村々をご自身の足で丁寧に歩いて集められた岩立さんとインド木版更紗の歴史を前に、布と香辛料の交易を通じて、インドネシアの人々にもたらしたインド木版更紗の文化的、そして精神的影響についてご一緒に考えることができると幸いです。インドネシア、それはインドのネシア(島々)を意味します。どうぞよろしくお願いします。