TEXTILE DIVER 布を探しに

布につながるすべての感覚をひろげて 

「カンター母からの贈り物」岩立フォークテキスタイルミュージアム

会期が12月11日までの木・金・土に延長されました。延期期間中は日時指定予約優先です。詳しくは岩立フォークテキスタイルミュージアムのホームページをご確認下さい。

企画展はこれで終了されるようですが、染織品の維持管理に加え事務所による小企画や催事はこれからも行われるようです。

「未来に生きる方々に、何とかこのコレクションを手渡したいと心より願っております。展示は終了しますが、染織品の維持管理とともに、小規模な展示や講演会の催事などは続ける予定です。今後とも皆が楽しく集える場でありたいと願っています」(企画展示の終了のお手紙より)

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「民族衣装ー異文化へのまなざしと探求、受容ー」文化学園服飾博物館

2021年11月1日(月)ー2022年2月7日(月)
民族衣装、民族染織に触れ感じ考え暮らすことを日々のよりどころにしている信奉者にとってはたまらない展覧会です。
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15世紀半ばの大航海時代以降、ヨーロッパ人はアジア、アフリカへと進出し、自分たちとは違う暮らしぶりを好奇心や驚きとともに記録しました。そしてヨーロッパ列強の植民地主義により人々の往来が盛んになり、また写真や映像といった新しい技術は、より正確な民族衣装の記録へとつながりました。
1960年以降は海外への渡航が容易になり現地に赴きその民族の暮らしぶりや衣装の調査を行うなど、自らの足で情報を得ようとする研究者も増えました。
(民族衣装ー異文化へのまなざしと探求、受容ーより抜粋)

今回の展覧会では「民族衣装の追求~文化学園 ゆかりの人たち~」のコーナーが設けられ、文化学園大学名誉教授、元文化学園服飾博物館学芸室長の道明美保子氏、そして民族衣装と各地の特徴ある布を35年に渡り追い求め、民族衣装にフォーカスを当てた写真を多く撮影してきた野口文子氏と同じ枠でティモール テキスタイル岡崎真奈美をご紹介いただき、恐れ多くて身が引き締まります。
思い起こせば、いつまでも就職先が決まらずに故・小池千枝先生にご面倒をかけた出来の悪い一卒業がこうして母校の博物館の展覧会でご紹介いただけることをしみじみ嬉しく思いまた励みになります。
ファッション業界からはとうの昔に落ちこぼれま、ものつくりは手放しましたが、多感な時期に憧れ学んだ「着る」「飾る」ことの意味、「美しさ」の追求はいまの布探しに繋がっています。先人の方々の仕事への情熱と想いに敬意を表し、自分なりのまなざしを持って探求と受容を等身大で実践し、新たな民族衣装と民族染織の物語を一行でも書き加えることができるように楽しみながら努めます。

日頃からお世話になっている皆様の支えあっての継続です。いつも本当にありがとうございます。
引き続き布のあれこれをご一緒に楽しんでいただけますように、どうぞよろしくお願いします。

詳しくは文化学園博物館HPをご覧ください。






インドネシア 僻地の手仕事

岩立フォークテキスタイルミュージアム「インドネシア 僻地の手仕事」講演会電話受付が明日8月6日(火)からはじまります。
事務局 03‐3718‐2461/10:00~17:00/日・月はお休みです。
各回予約制で店員40名、会費2500円です。

※9月3日(火)13:30-15:30
「西ティモール アトニ人の衣文化」岡崎 真奈美 ティモール テキスタイル
テキスタイルダイバー、ディラーとして現地を歩き探し考え感じたことを交えて、アトニ人の衣文化についてお話しします。
ティモールの人々との人間臭いやりとり、研究中のメオ(戦士)の衣装にも触れたいと思います。
※10月8日(火)13:00-15:30
「模様に託す思い、ヌサ・トゥンガラ諸島の人々とスマトラ島のランプン人」渡辺 万知子 染織作家
1972年からインドネシアに渡り、独自で現地の染織を研究されるインドネシア染織研究の第一人者、渡辺万知子さんによる模様についての講演です。
染織工房「イカット」主宰。『染織列島 インドネシア』(めこん)著書
どうぞ宜しくお願いいたします。

  

インドネシア 僻地の手仕事

岩立フォークテキスタイルミュージアムで8月1日から「インドネシアの僻地の手仕事」がはじまります。
マレー半島の南西に位置するスマトラ島とオーストラリアの北東に位置するティモール島、その他ヌサ・トゥンガラ諸島の染織に焦点を当てた展示会です。
毎回の魅力的なタイトル、そしてタイトルに従って何千点ものコレクションんの中から選ばれる美しい布、
布を知り尽くし布に寄り添った素晴らしい展示は、訪れるたびになんだか布の洗礼を受けているような気持になります。
特に今展はティモール島という言葉がタイトルにも使われ「ティモール テキスタイル」の屋号を背負って布を商い生活の糧を得ている人間としてこんなに嬉しいことはありません。


また講演会の講師、ギャラリートークの重要な役目を与えていただき、今まで見聞し思考したティモールの文化と染織について改めてまとめる機会にもなりました。
ご興味を持って参加して下さる方々にティモールのことをお伝え出来るようにしっかり準備を進めます。
文明発祥地の地続きの大陸とは違う力を持つ、海に囲まれた島々の土着のテキスタイルです。


 


インドネシア 僻地の手仕事 -スマトラ島、ティモール島などー
Indonesian Backwoods Tetile-Sumatera,Timor


2019年8月1日ー11月9日 木・金・土 10時ー17時開館

講演会

各回予約制で定員40名、参加費2,500円。

ご予約は8月6日(火)~電話にてお受けします。

(事務局03-3718-2416/10:00~17:00/日・月は休み

9月3日(火)13:30-15:30


「西ティモール アトニ人の衣文化」

講師|岡崎 真奈美


10月8日(火)13:30=15:30


「模様に託す思い ヌサ・トゥンガラ諸島の人々と、スマトラ島のランプン人」


講師|渡辺 万智子


ギャラリートーク


いずれも予約不要で当日10:30-11:30に展示品を中心に解説します。

会費200円(別途入館料)友の会会員は無料です。


8月17日(土)/10月19日(土)岡崎真奈美(ティモール テキスタイル)
9月21日(土)/10月26日(土)内村航(当館学芸員補)

インド木版更紗 ―村々で出会った文様の原形―岩立フォークテキスタイルミュージアム

第14回展 Indian Woodblock Prints


2018年4月5日ー7月14日 木・金・土曜日 10時ー17時開館


岩立フォークテキスタイルミュージアム「インド木版更紗ー村々で出会った原形」がはじまりました。3階までの階段を上ると、表情のある木綿に茜で堅牢に染められた木版更紗が出迎えてくれます。「憧れの木版更紗・・・」心の内に湧く言葉は、島の外から運ばれて来た布に恋焦がれたインドネシアの人々の気持ちへと重なります。インドネシアを布を探して歩いていると「カイン インディア、カイン インディア」という言葉をよく耳にします。他の東南アジア諸国ではめったにないことです。カインは布でインディアはもちろんインドのこと。これらの布は古くはアラブやインド商人よって、そして16世紀に入るとポルトガルやオランダの西洋諸国によって香辛料貿易の最大の交易品としてインドネシアに運びこまれました。いつも、どうしてインドネシアの島々の人々はインド木版更紗にこれほど熱狂したのかと考えていましたが、岩立フォークテキスタイルミュージアムに展示されたラジャスタンの村々で作られた木版更紗の文様の多様さと生命力が吹き上げるような茜の赤に純粋に人間の心が昂るのを感じるのです。今まで見たこともない華やかな文様と艶やかな赤に魅了されないはずはありません。西洋諸国の熱望する胡椒・丁子・ナツメグ、そしてそれらの資源を所有する島の人々は”布”を交換に望みました。相手の要望する布を作ることの可能であったインド木版更紗の生産力と技術の背景にある長い歴史を改めて確認します。木綿や染料の材料があり、媒染の知識と技術を持ち、そして文様を表現する能力、これらのすべての要素が一枚の木版更紗になって海を渡ったのです。染織の情報がギュッと一杯詰まった布はインドネシアの染織文化の歴史に大きな影響を与えました。


1995年に2か月ほどラジャスタンとグジャラートを歩いたことがあります。その時、あまりの染織の奥深さに手の付けようもないままにその土地を離れたことが思い出されます。その後にマレー半島を南下し、インドネシアのスマトラから東へ東へと移動し最東端のティモール島に辿り着きました。ティモール島、そこには何もなかったのです。原始機での織物以外は、一枚布を纏う以外は何もなかったのです。それ以来インドへは一度も行く機会もなく、わたしはティモールからいつもインド染織に憧憬の念を抱いていました。インドネシアの人々がそうであったように。岩立広子編集「インド 沙漠の民と美」はずっとずっと大切な一冊です。



6月23日(土)10:30-11:30、インドからインドネシアに渡った更紗についてお話しをさせていただきます。地図にも載っていないようなインド・ラジャスタンの小さな村々をご自身の足で丁寧に歩いて集められた岩立さんとインド木版更紗の歴史を前に、布と香辛料の交易を通じて、インドネシアの人々にもたらしたインド木版更紗の文化的、そして精神的影響についてご一緒に考えることができると幸いです。インドネシア、それはインドのネシア(島々)を意味します。どうぞよろしくお願いします。