TEXTILE DIVER 布を探しに

布につながるすべての感覚をひろげて 

60㎝のなか

毎日家で何をして遊んでいるかというと、いろいろあるのですが、布と物を60㎝のなかに置いて、あっちこっち動かす遊びはかなりお気に入りです。ものの位置と隣り合うものとの関係で印象がくるくる変わり、配置に正解はあるのかないのか?これが一番落ち着くと思ったのに、お茶を飲んでしばらく眺めていると、あれれっと疑問が湧いて、また動かしたくなります。ぼんやりした頭も活性化され、木綿、木、金属、パンダナスの葉と素材も色々で、触れる感触や重さも、何かしらの体の刺激になっていると思います。

いつもは展示会で布や物をご紹介しています。展示会が嬉しいのは、一点一点集めた特徴のあるユニークなものを配置して、大きな一つのまとまった空間を作りだすことができるからです。

でもいまのコロナ禍では、この60㎝の布の上で遊べることが何よりも幸せです。
どうして60㎝かというと、ほぼ座布団一枚分の大きさで正座したり胡坐で座った時のサイズ、
こちらも60㎝、あちらも60㎝で向かい合い、座ったままであちこちものを簡単に動かせます。
遊びにはやっぱりルールがあったほうがおもしろいのです。一人で遊ぶにしても。

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これは昨日の青い布の60㎝メンバ―です。スラウェシの壁面パネル、カリマンタンの櫛、スマトラのパンダナスの編みと布、ティモールの木彫にミャオ族の刺繍です。

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こちらは今日の白い布の60㎝メンバーで、トン族太陽刺繍とミャオ族の紐、ティモールからはスクワット中の木彫と人型スプーンに煤けた籠、そしてスラウェシのぐるぐるサンゴリです。

どちらも下に敷いた布が、引き立て役になっていますね。
今度は一緒にこの60㎝で遊べると嬉しいです。
そうすると60㎝の正方形が3つになります。

大事に集めたものと、大切な人の力を借りて、ちっちゃくちっちゃくできることをコツコツと慎重に、コロナ時代の最初の一歩を、踏み出せたらと思います。

経紋織のワニ

西ティモール、アマナトゥンの経紋織で布幅いっぱいに織られたワニの模様。原始機に綾竹を組み、経糸の白黒を交互に浮沈させて模様を織るので両面の色は反転する。片側が白いワニならば反対側は黒いワニ。どっちが表でどっちが裏?どちらも表でどちらも裏だけど、たぶん織手は黒いワニを見ながら織っと思われる。綾竹を使った経紋織には幾何学模様のような繰り返しの柄が多く、足を広げて尻尾を巻いてドーンと横たわる大胆で独創的な平地浮文組織でのワニ模様は模様蒐集家にはたまらなく、絶滅危惧種に近いほど西ティモールでも織れる人はほとんどいない。腕のいい婆ちゃまが山の中でかろうじて織物をしている。紙に絵は描けないのに、布にはこんな模様が描ける婆ちゃまに会いに行かなくちゃ。


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