西ティモールの染織品に奥行きを持たせるアイテムとして男性用の腰帯も重要です。
これらの帯はフゥトゥと呼ばれアマヌバン、モロ地域の男たちの一枚布の腰布の装いを一層華やかにします。古い写真ではこの帯を2本3本と結んだ洒落た男たちの姿も見られますが、いまでは合成皮革のベルトにその地位は奪われています。
頭飾りのピルサルフ、檳榔袋のアルック同様、平織、綴織、緯捩、そして縫取織の技法で構成され、短冊状に織り分けた先端はしなやかに揺れ、その予想出来ない動きは着装者だけではなく観察者をも魅了します。この効果は長い長い房を持つピルサルフではもっともっと有効です。
西ティモールの乾いた言葉“UabMeto”ではピルは布、サルフは引き裂かれた、またはヒラヒラした房状を意味しますが、地域により微妙に言葉が違いそのことが混乱をまねく原因になります。いまではものが徐々に失われ、そのことを覚えている人も居なくなり、言葉も一緒に失われていきます。

