TEXTILE DIVER 布を探しに

布につながるすべての感覚をひろげて 

「布旅」

“布旅”とは、わたしの暮らしの2本の柱となっている“モノ”と“コト”を併せた造語。

この2本の柱がぐらぐらしないようにと必死に掘っては打ち込んでいるのだけど、腕力だけではどうにもならない・・・。

“布”“旅”の文字を見ると、一つひとつの意味は明確に理解できて、ふたつくっ付けたとしても言葉のイメージは湧いてくる。

もちろん日本語を知っているからで、知らなければ不思議な記号でしかない。

“布旅”を音にするとどうだろう?「ヌノタビ」布の足袋のようだけど、「ヌノタビ」布の旅も充分聞こえてくる。

次は「ヌノリョ」と読んでみる、まるっきり意味不明で音の響きもしっくりこない。

最後に「フリョ」不慮、これはちょっと危険、旅する者として身近にはいて欲しくない言葉。

そういうことで「ヌノタビ」と読むのが納まりがいいようです・・・布足袋ではありません。



「布旅」を広辞苑で引いてみると・・・

①布を求めて旅をすること ②布と共に旅すること ③布の中を旅すること

①と②は時間と場所を移してゆかなければならないけど、③は、布を拡げるだけでいつでもどこでも旅立てる。









「nunoteshio展 vol.5 」 oteshio

nunoteshio vol.5



10月1日(土)~10日(月)

PM1:00~7:00



赤ちゃんの前掛けやおぶい布、子供のための帽子や衣装や小さな刺繍布、どれもこれも母の愛情一杯の布仕事です。

手のひらにのせて眺めているだけで心も体もポカポカしてくる小さな布から、体に纏って嬉しい大きな布まで、

インドネシア、インドシナ、そして中国から民族の知恵と技術と強い絆を結集して生み出された布々をご紹介いたします。





豊穣の女神たちが手をつなぎ大地を踏んで踊りだせば、木々も一緒になって手をつないで踊りだす(海南島 リ族の腰衣)





1日(土)・2日(日)岡崎真奈美、在店予定です。





oteshio

北海道札幌市中央区南一条西六丁目 第二 三谷ビル三階 電話:011-271-9577





「髪」

身体のなかで一番好きなところはどこ?と訊かれたら迷わず「髪」と答える。全身のパーツをいくら確認してみてもほかに思いつくところもないので。

好きだといっても特別な手入れをしているわけもなく、まあまあ元気に伸びてくれて、朝夕のブラッシングと気が向いたときに毛先を摘まんで2,3センチほどカットする。

ほったらかしで、腰の下のお尻に届くほど長いときもあり、「わたしの髪はどこまで伸びるのかな」と試してみたい気持ちもある。

「長いと手間がかかるでしょ」ともよくいわれたけれど(いま訊かれることはまずない、スタイルの確立か)、数十年伸ばしっぱなしですでに身体の一部になっているので、逆になくなったことを考えると恐ろしくなる・・・いつかは失ってしまうのかも知れないけど、その時は潔く頭を丸めてしまおう・・・なんて結構本気。

身体のなかで髪だけが巻いたり切ったり染めたりと簡単に加工できるのも考えてみると興味深く、本人の意思とは関係なく勝手に伸びたり抜けたりするのは神秘に近い。

近頃ではかなり白いものも目立ちはじめ、それでも黒くて硬くて太くて多い髪質はあれこれカタチを変えるほうがよっぽど大変で、

髪はいつも結わえている。



布旅をして歩く国々の、今でも布を織ったり、刺したり、纏ったりして、布が日常の暮らしのなかにある民族の女性たちは長い髪をさまざまに飾っている。

“布”と“長い髪”は民族文化の根っこのところで見えない糸で結ばれているようで・・・見えない糸?糸と髪という長くて細くて、物質的に同じ特長を持っていることにも充分注意を払わなくては・・・。



ペルー・ボリビアではまん丸なふくよかな体の背後に2本の三つ編みが下がる。

紐を編み込んだり、大きなボンボンを提げたりして飾られた髪は、帽子を愛用し、カラフルなマンタで荷物を背負う彼女たちのスタイルによく似合う。

だからペルー・ボリビアを布旅するときはわたしも三つ編みにしている。

市場で、道端で、村で・・・自分たちとは明らかに違うはずの外来者が、自分たちのしるしであるはずの“三つ編みしるし”を体に持っていることに同士?の匂いを嗅ぎ付けてくれるようで、

2本に編んだわたしの長い髪にそっと触れ、微笑んでくれる、髪のコミニケーション・・・。



インドネシアでは頭の後ろで髪を丸めて櫛を挿す。

中国では大きな花を髪に飾ろう、

ベトナムサパのザオの剃り込みスタイルはとっても真似できないけど・・・。



布とつながるためのしるしを一つひとつ掬い集め、テキスタイルダイバーは今日も、独り、沈んでゆく。





ペルー/カルカ

中国/西江

ベトナム/サパ







刺繍とリンリン

都会で暮らすミャオ族のリンリンは、Tシャツにミニスカートにヒールの高いサンダルをを履いて、前髪を切り揃え茶色く染めた長い髪を垂らしている。

野菜や果物を商う人々が小さなテントを張って並ぶ通りに面した古いビルの4階に、小学生になる一人娘と二人で暮らす。

南京錠を掛けた入口の扉を開けると台所と小さな食卓が置かれていて、奥の部屋には、空間の半分以上を占める大きなベットと娘の勉強机が窓際に置かれている。





「娘のお祭り用の衣装を作るための刺繍よ。毎日時間のあるときに少しずつ刺しているの」

男性用ファッション雑誌の間には、刺繍糸や刺繍布が大切に保管されている。



リンリンも彼女の娘も中国で暮らす中国人だけど、刺繍をしている時にはミャオ族に戻ってゆく・・・









プリーツスカート

道の真ん中で、プリーツスカートを円形に広げて刺繍仕事をする少女。

赤いシャツと長い黒髪に刺した赤い櫛は現代のもの・・・民族のなかに“モード”がチラチラと見え隠れしている。









洗濯したスカートのかたちを整えている。

細い棒を地面に刺してかごをのせプリーツスカートを被せる。家の前のディスプレーのよう。

衣服のかたちが違うと、洗濯物の干し方も違う・・・

「藍展」その2 ババグーリ本店

藍展 9月15日(木)~19日(月) ババグーリ本店



写真ヨーガンレール



古来より、世界中の人々と共にあった藍。

単に色持ちの良い染料としてだけではなく、

薬や虫除けなどの力で人々の体を守ってきた藍の布は

祭事などの儀礼服から普段着まで

土地に深く根ざし、愛されてきました。



藍に染まった藍の手は、藍を染めた手。

皺のなかも、爪にもすべてに藍がしみこんで、

その手で染めた藍の布には、

人々の藍への思いまで沁みこんでいるかのよう。



今回ババグーリでは、そんな藍に的を絞って

ティモール テキスタイルの岡崎真奈美さんと共に

豊な藍色をご紹介してゆきます。





  





ババグーリ本店

東京都江東区清澄3・1・7

ヨーガンレール本社一階

11:00~19:00

03・3820・8825

砧打ち

トン族の村での朝、“とんとんとん”と規則正しく打ち響く音で目を覚ます。

窓の外を覗くと、水路を挟んだ反対側の遊歩道で女性が砧打ちをしている。







砧打ちのための石台が、村のあちらこちらに備えられている。

昨日まで腰掛けの石が置かれているのだと、その石のことなど気もとめずに歩いていた。



藍で染めた布を打つことで、布の織目を潰し布を滑らかにして、輝くような光沢を出す。

重い砧を左右の手で持ち替えながら、1時間以上作業が続く。







水路に降りる石段で、水に濡らした布を手で打って遊ぶ女の子。

布仕事は、こうして遊びながら自然に身に付いてゆくのです。



藍を染める

    



「はい、これ着て」と藍染のトン族のジャケットを渡される。藍染めの手伝い。

手も桶も布を置く板も服も・・・何もかも藍に染まってしまう藍の村。



中国貴州省 黔東南苗族侗族自治区 7/13/2011

「藍展 」 ババグーリ本店

藍展 2011年9月15日(木)~19日(月) ババグーリ本店

写真 ヨーガンレール



古来より、世界中の人々と共にあった藍。

単に色持ちの良い染料としてだけではなく、

薬や虫除けなどの力で人々の体を守ってきた藍の布は

祭事などの儀礼服から普段着まで

土地に深く根ざし、愛されてきました。



藍に染まった藍の手は、藍を染めた手。

皺のなかも、爪にもすべてに藍がしみこんで、

その手で染めた藍の布には、

人々の藍への思いまで沁みこんでいるかのよう。



今回ババグーリでは、そんな藍に的を絞って

ティモール テキスタイルの岡崎真奈美さんと共に

豊な藍色をご紹介してゆきます。





ババグーリ本店

東京都江東区清澄3・1・7

ヨーガンレール本社一階

11:00~19:00

03・3820・8825