TEXTILE DIVER 布を探しに

布につながるすべての感覚をひろげて 

トンパ文字

トンパ文字。文字というよりマーク、図、絵、アイコン・・・。

中国雲南省のナシ族の生きた象形文字。

手に持った2本の線がブルブル震えているのと、しゃがんで紡錘から糸が繰り出しているカタチは「紡ぐ」、

足を投げ出して座り、たてに並んだ線(よこ糸)にバッテンがされているのは「織る」、

まるで、ことばの通じない国で「紡ぎ」「織り」を相手に伝えたいときに描く絵のよう。



トンパ文字は、わたしたちがに日常親しんでいる文字の意味合いとは随分かけ離れているようで、

人と人のコミュニケーションのためではなく、

神の言葉、ナシ族の起源や神話をシャーマン(シャーマンのことをトンパという)によって書き残され伝承され(文字のハジメはすべてここにあるのだけど)

いわゆる普通には読めない読んではいけないコトバなのです。

そんな神の言葉や神話を伝えるための文章に「紡ぎ」「織り」の文字があるなんて・・・、

古事記やギリシャ神話をはじめ、織物や糸のお話は世界中で語り継がれている「やっぱりここにも・・・」とこの大発見にほくそ笑む。



文字を掘ってゆくとカタチにぶつかり、文様を掘ってゆくとコトバにぶつかる。

ミャオ族の蝶の文様を「母」と、アトニ人のカイフの文様を「絆」と、どうして読むことができないといえるだろう。











写真

トンパ文字 P90

王超鷹  マール社

ミャオの蝶

白い木綿布のまわりには、光沢のあるピンクと水色の布をパッチワークした蝶が舞っている。

小さな首のサイズに合わせて丸くパイピングし、強くてやさしい形が藍布で同じようにパッチワークされている。

新生児の前掛け。









ミャオ族の言い伝えでは、蝶はすべての生命の母であり、心地よい母体から引き離されてもこうして蝶を纏う。

蝶は民族衣装にも刺繍され、それは祖先とのつながりをいつも感じているために。

刺繍の見本布

小さくて、古そうで、これはいったい何に使われていた布だろう、とひとり見入っていると、

リンリンは携帯電話を取り出してタイプし始めた。ハイ、と見せられたディスプレーには“SAMPLE”と文字が書かれていて、

携帯の機能を利用して中国語から英語に翻訳をしてくれたのです。

とっても便利だな~と思う一方で、片言の言葉と、身振り手振りに筆談をくわえて、

連想ゲームのように答えを探ってゆく楽しみをバッサリ削除された気がして、この現代的な小さなマシーンを疎ましくなる。











それにしても、刺繍の見本を刺した布だなんて・・・

これを見ながら手本にして刺したのよ昔は、今は使われなくなったし、ほとんど見本布もなくなったけど。

いろいろな文様が少しずつ刺してある。

布に刺す刺繍の見本は紙ではなく、やっぱり布でなくちゃネ。





布の言葉

中国苗族のおぶい帯の文様部分。長さ108cm、幅20cmの織物の周囲にぐるっと藍無地で額縁のように枠を仕立て、紐を付けて出来上がり。

5段重なる菱形文の、そのなかの文様がすべて違っているのです。







まず一段目



そして2段目 



3段目



4段目



5段目 









子供を包むおぶい布の文様には、子供を守るための祈りの言葉が織り成されているという・・・読めないけど・・・読みたい・・・読まなければ・・・

「nunoteshio vol.5」その2  oteshio

「nunoteshio vol.5] 10月10日(月)まで開催しています。

PM1:00~7:00





黒地に白糸で女神たちが織りなされ、それは透けるレースのよう。

44cm丈の海南島リ族のスーパーミニサロン。







ひと足に札幌から一時?帰京いたしました・・・来年の春の「nunoteshio vol.6」が待ち遠しい・・・。

お会いできた方、お会いできなかった方、会えたり会えなかったり、だからまた行きたくなるのです。



oteshio

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