TEXTILE DIVER 布を探しに

布につながるすべての感覚をひろげて 

nunoteshio vol.11 ~oteshio~ はじまります1⃣

2014/9/26(fri)~10/2(thu)

PM1:00~7:00









ロンボク島の言葉で”ベベルット”と呼ばれる格子の布。

この意味を「手紡ぎ木綿」と言う人、「草木染めのことよ」と教えてくれる人、

またまた「昔からそう呼ばれているの」とそっけない返事もあったり・・・。

帰国してからもいろいろ本を当たってみたけれど、正確な言葉の意味は?マーク。(わからないことがあるのもまた嬉しい)

布を眺めていると「手紡ぎ木綿で草木染めの格子の古い布のことよ」と布は語りかけてくるような。

ロンボクから運ばれてきたばかりの格子布と合わせて亜細亜諸国の美しい布をこの秋もOteshioでご覧下さい。



9月26・27・28日 岡崎真奈美 ティモール テキスタイル 在店





oteshio

札幌市中央区南1条西6丁目 第2三谷ビル3階

011-271-9577



孤児 ~フアン・ホセ・サエール~

ロンボクで出会った小ぶりで可愛いオレンジ色の格子の布。

大きさからして子供用と考えられる腰布は、あちこち糸が切れて布は裂け、

大きな穴が2つあいている。

そのボロさに愛しさがこみ上げる一方で、

繕われることなく放置されていることに憐れさを感じる。

布を織った人、使った人が気にかけないのなら、

自分が修理すればいいと簡単に考え、

考えるようにしているといったほうがいいかもしれない、

実際の修理にはとてつもない時間がかかる。



旅のあいだも朝夜時間をつくり少しづつ糸を入れていく。

どの宿の明かりも薄暗く、

携帯しているヘッドライトを着装して手元を照らす。

いつものことでそんな布々を2枚3枚・・・

とレスキュー隊員のごとく保護を繰り返していれば、

穴ぼこだらけの布がどんどん集まってくる。

帰国後も時間を見つけては修理する。

すぐに修理のすむ布もあるし、

何年かかかってようやく展示会に並ぶ布もある。



もちろん穴があいたままでも美しい布もあり、

また繕いかたで繕ったほうが美しい布もある。



たとえその手が布を産んだ手ではなく他人の手だとしても、

破けたり裂けたりしたとこを元に戻す作業する時間と、

少しでも長く布が存在しほしいという気持ちが針と糸で布に加わるのだから。





ファン・ホセ・サニールの「孤児」を最近読んだ。

舞台は16世紀、ひとりの孤児が水夫となり新大陸を目指し、

そこでインディオの捕虜となり彼らと生活を共にする。

この小説のなかに、

「彼らはなんとしてもこの不確かな移ろいやすい世界を存続させようとする。

矢の一本でも無駄にすることは、現実世界の断片をひとつ失うのに等しい」





手元で布を繕いながら、日本民藝館で先日観たカンタと刺子を思う。

「糸の一本でも無駄にすることは、現実世界の断片をひとつ失うのに等しい」

不確かな移ろいやすい世界の存続を一針一針にゆだねているのかも。



観たこと読んだことが引き合い、イメージが繋がる。



わたしの布の繕いにそんな効力が働くわけはなく、

あわよくば布の神様がわたしの布の仕事の存続を助けてくれるようにと・・・

そんなもくろみはお見通しであろうが。









孤児 フアン・ホセ・サエール

寺尾隆吉 訳

水声社 2013年5月





カンタと刺子 ー日本民藝館ー

ベンガル地方と東北地方の針仕事ー2014年9月9日(火)ー11月24日(月・祝)







本日から開催の「カンタと刺子」一足先に昨日内覧会を拝見した。

作品一点一点の素晴らしさはもちろんだが、

人生をかけてカンタを、布をいまも蒐集しつづける岩立さん個人の情熱の前に、

自らの身を正す。



匿名の女性たちが一針一針刺したカンタには

ある種の執着と刺した本人にも理解不能なのではと思える、

人の心と技を超えた何かが蠢いている。

表面から眺める静かな個性とは対照的に、

布のなかに入り込んで行くと何重もの糸がまるで地層のように

その年月を語ってくれるだろう。

それらを引き寄せ蒐集するにはすべを受け止める覚悟と布と対等の力を必要とする。



岩立さんから頂いたご案内のお手紙には、

「大事な展案会の前に、インドの空気を吸い、友達に会えたのは幸いでした」と書かれ、

この言葉からも、何十年もインドに通っているにもかかわらず

展示会直前にカンタの生まれたインドの大地に自分自身を再び晒し更新することで、

それは儀礼的行為でもあり、またそれによって

日本民藝館に展示された岩立宏子カンタコレクションは見事に"今の時間"に軸を合わせた。





同じ布を扱う者として、もちろん足元にも及ばぬが

どこまで布を背負う覚悟が出来ているだろう。

そしてティモールをいつも更新していかねばならない。





フローレス島 ワエレボ村

ティモール テキスタイル・ホームページのトップページの写真を変更。

写真はインドネシア・フローレス島のワエレボ村。







村の全容が明らかになったとき、その美しさに息を呑む。

まるで遥か昔、私たちの祖先が暮らしていた時間に突然迷い込んでしまったかのような。

このぐるりと山々に囲まれ隔離された、デンゲ村からの3時間半の狭い山道は、

様々な熱帯雨林の植物に覆われ、その道のりからしてこの先に何かがあることを期待させる。

目に映る深い緑、鳥たちの歌を耳に、谷間を抜ける風は体の中に染み入る。





ときおり山から降りてくる男たちとすれ違う。

彼らはワエレボで収穫したコーヒーを頭に乗せて下の村まで運んで売りに行く。

その重さはおよそ20キロ。帰りには同じ重さの米を買って村に持ち帰るという。



ワエレボはマンガライ族の古い村で、

人里離れた山岳部の美しい自然のなかにひっそりと位置する。

いい伝えによると、村の最初の父はマロと呼ばれ、

遊牧生活に疲れたマロはこの場所を選んで落着いた。

マロの時代から今まで18世代の彼の子孫たちがここで暮らしている。



マンガライ族の伝統的な大きなドーム型の家が7棟、半円を描くように並ぶ。

家の中央には軸となる柱が打ち込まれ、どっしりとした茅葺屋根を支えている。

すべて家は共同体のもので同じ祖先をもつ幾つかの家族が一つ屋根の下で生活を共にする。



7月18日、訪れた時期は丁度コーヒーの収穫時で中央の広場で

人々は忙しく仕事をしていた。

村は辺境の忘れ去られた地ではなくいまも機能している。

























ひとり民族ヌノ ~布う~ はじまります1⃣

2014.9.12fri~23tue

12:00~18:00 木曜休み



≪ティモール テキスタイルからのメッセージ≫



布を担いで初めて布うさんに出かけてから幾年が過ぎたでしょう。

ほぼ毎年、こうして展示会をしていただき感謝しています。

7月8月はこの展示会のためにインドネシアのバリからロンボク、スンバワ、

フローレスと渡り、ティモールでこのお案内の文章を書いて布うさんにメールしました。

島々で暮らす民族とヌノとの関わり方は移り変わり、

年々布を織る女性や布を纏う人の姿は少なくなっています。

そんななか出会う一枚一枚の布を大切に運んできました。

布うさんでどうぞご覧ください。













≪布うさんからのメッセージ≫



岡崎さんが布うに布を届けてくださるようになって10年目の展示会になりました。

今までどれだけの布探しの旅に出て、いくつもの物語とともに布は海を渡ってきたのでしょう。

出会った人々の歴史や暮らしとともに布を譲り受けることを、一枚一枚大切にしながら

布は日本へ、大磯へやってきます。

岡崎さんと出会う行く先々の国の人々のまなざしは、どこの国に行っても「布」という世界共通のことばでとても優しいのです。

今年から布うの展示会を「ひとり民族ヌノ」として続けていきます。

今回はどんなひとり民族ができるでしょうか・・・楽しみです。



布さん素敵なメッセージをありがとうございます。

展示会楽しみ。ただいま布に新たな命を入魂中です。