TEXTILE DIVER 布を探しに

布につながるすべての感覚をひろげて 

大江戸骨董市 明日 3月1日 中止

明日の骨董市の準備をしていると、鳥たちが続々舞い降りてくる。

夏鳥到来にはちょっと早い?待ちきれないのなら旅は道連れそれではご一緒いたしましょう。



夏鳥はやはり到来が早すぎたよう。

次の3月15日まで、今度は待っててくれるかしら。

スンバ コディのカビロ

インドネシアのコディで”カビロ”と呼ばれる、綿を紡ぎやすいように整えるシノ巻のときに使う板。

木綿織物のあるとこではこのシノ巻き作業は必要で、普通はただの板の上で細い棒を転がして綿を巻いている。

道具としてはそれで十分に用を足す。スンバ コディではその板に持ち手が付いていて、そこに顔が彫ってあるものもある。

ここまでなら納得もいく。彫られた部分はあくまでも持ち手としての機能を備えているのだから。



誰だろう、腕と足も彫ってみようと思ったのは?

ショートカットに肩からストンと落ちる直線ラインのドレスを着て、両腕を体の脇に姿勢よく立っている。

実際は寝かして使う道具なので起立はしないのだけど。

あれこの辺りの子かしらと思うよな、熱帯とはちょっと違うどちらかというと北国育ちのような趣きと装い。

肌がココア色なのにもかかわらず。



















身長:33㎝

身幅:13㎝

体重:680g

sold out

大江戸骨董市 ~2015・3・1~

2015年3月1、大江戸骨董市に出店いたします。

1日というナンバーもいいですし。



座る座布団はペルー クスコ周辺のチンチェロのウールの風呂敷にして、

モノモノを並べる敷物はインドネシア スラウェシ島中部トラジャの樹皮布に決定。

座布団にはもちろん自分が座るのだが、さてさて樹皮布には何を並べるか、一週間じっくり考えよう。

ともに座ったり並べたりするのはもったいなすぎるのだけど・・・。



たくさんの出会いがありますように、とっても楽しみ。

まずはお天気、お願いいたします。







カリマンタン イバンの櫛

インドネシア 西カリマンタン シンタンに住むイバンダヤックの真鍮の櫛。

鳥の頭の形から、櫛はカリマンタンに生息するサイチョウをモチーフに、

そこに5人が乗り合わせている。



どこに向かうのか?

飛んでいくようにも思えるが、

カリマンタンのジャングルを流れる雄大なカプアス河は生活の重要な交通手段とされ、

この乗り物はサイチョウの船とも考えられる。

頭部と尾には穴が開いていて、多分ビーズなどの装飾が施されていたのであろう。



点を2つ穿ち、その下に刻まれた一本の線だけの表情のなかに、

各人の心境を読み取れるような。

顔が両面に描かれているから総勢10名の旅。











どこでも乗り降り自由です。みんな一緒に。



サイチョウ全長16㎝

乗客身長5㎝

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The Nagas ~Hill Peoples of Northeast India~

1996年にネパールを旅した時の出会いの一冊。

1601グラム、旅に持ち歩くには重かった・・・リュックで。

今ならネットで検索してピュッと運んできてくれる。







1990年初版でペーパバックにもなり、いまだに増刷されているナガを知るための至宝の一冊。



The Nagas Hill Peoples of Northeast India

Julian Jacobs

Thames and Hudson

初版1990年

インド北東部の特異な服装 ~岩立フォークテキスタイルミュージアム~

第18回展 インド北東部の特異な服装 ーナガランド州、アルナチャール プラデーシュ州

2015年1月8日ー3月28日 木・金・土曜日 10時ー17時開館





岩立フォークテキスタイルミュージアムでナガの布を見た翌々日、

久しぶりに神保町の本屋を渡り歩いた。

3件目に入ったお気に入りの古本屋で、

「NAGA」というタイトルの今まで手にしたことがない本がわたしを待ち受けていた。

ナガの布を見た後で「NAGA」の本に出会うなんて・・・嬉しくもあり、多少のおののきもある。、

逸る気持ちを落ち着かせ、荷物を置いて本棚から引き抜く本は重い。

ハードカバーの白い表紙には赤いナガの布がグラフィカルに配置され、

今までのナガの民族色の濃い装丁とはまったく感じが違う。



ページをめくって発行日を確認すると2015年2月5日。

「エエェ~今月の5日」古い本で知らなかったのではなく、新しく出版されたばかり。

もちろんそこは古本屋なのだが、通常の本屋さんでは取り扱わないような洋書や美術書、世界中の展示会図録も並ぶ。

だから神保町はやめられない。





タイトルは「Naga Textiles」 副題は~Design,Technicque,Meaning and Effect of a Local Craft Tradition~。

歴史的な古い布のコレクションではなく、ナガの布をデザイン別、技法別、意味別に一枚一枚を丁寧に検証し、

伝統染織が今の時代にどのように新しくデザインされ、ファッションとして変貌していくかの研究をまとめた本のようだ。

ナガの布を新しい目で見つめた10年の集大成。

古い布を見たあとの、新しい可能性を示唆する本。

一緒に考えていかなくてはならない大切なこと。

















ティモールの馬文様

馬は横を向き、人は両手を上げ両足を馬の腹から突き出し正面を向いている。

ケンタウルスは頭が人で体は馬だが、この模様は人と馬の合体型。

馬に人が突き刺さっているのではなく、馬に跨る人を表現した、藍色の地に白く抜いたたて絣の特徴を活かした独創的な意匠は文句なしに目と心を揺さぶる。





布は男性用の腰布として織られたもので、

馬に跨った模様は左右対称なパターンとして布の上に並び、別の場所ではこの模様が逆さまになっている。

それはたて糸に模様を結ぶ際、布を四つに折り畳んだのと同じ状態で枠に張ったたて糸に模様を括っていくからで、絣模様を括り、染織が終わったたて糸を織機に掛けるとき、折り畳んで括った糸を開くと反転した模様が繰り返され、そのたて絣の模様がずれないよう織機に整経していく。



ひとつ目の、大きく垂れ下がる耳の人型模様はティモールのアマヌバン、アマナトゥン、ミオマフォで織られ、

馬模様はアマヌバンのみ、そしてこの馬に跨る人型模様はアマヌバンのヌレ村でしか織られていない。

人型模様や馬模様はお祭りなどで着用されていたが、今ではほとんど見ることはなく、

これらの模様を括れる女性もすでにいないと村人はいう。



いまにも地面を蹴って駆け出しそうな馬の背で飄々と手を上げているさまは、

ティモールの友人たちの性格をあらためて裏付けるかのよう。











扉に彫られた模様では、男が膝を立てて牝馬の上に座っている。

A World of Head Ornaments

ティモール島アトニ人の櫛コレクション。

手前は本物で後方の二点はもちろん写真。

すべて水牛の骨を素材としていて、

写真右側は鶏の頭部が彫られて、四本の細い櫛の歯はまるで羽のように緩やかに曲線を描いている。

写真左側は先端が平らな円で櫛の歯も太くシンプルで力強い。



そして手前は本物・・・鳥が嘴を背中にうずめ寛ぐ意匠がとても平和的。

このページの余白にもう一本櫛を埋め込みたい。本に厚みは十分ある。












A World Head Ornaments Africa,Asia,Oceania,America from the Ghysels Collection

2005 SKIRA

スンバの薬入れ

水平な面の上では不安定な形も、ギュっと握りしめる掌のなかでは納まりがいい。

歪な捻りで先端が細くなっていく飴色の下部は山羊の角で、その後部にトカゲを背負っている。

黒光りする上部は水牛の角にスンバの祖霊”マラプ"が宙を見つめて蹲う。

儀礼の供物として捧げられた動物たち。

その肉も血も骨も角も皮も、命の恩恵を忘れないように新たに形を整える。

誰がつくったのか、もちろん名前など刻まれるはずはなく、

その無名の手はトカゲの、マラプのかたちの細部までを完璧に覚えている。

他の模様はここにはあり得ないと。



治療師の薬入れ、どんな薬が収められていたのか。









スンバ 薬入れ

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西スンバのパッソーラ

そろそろパッソ―ラの季節。

今頃西スンバではパッソ―ラの日取りも決まり、村人たちは気もそぞろであろう。

パッソーラはインドネシアの東に浮かぶ、東ヌサ・トゥンガラ州のなかでも最高に迫力のある騎馬戦のお祭り。

毎年この時期、満月の日から開催日が呪術師によって決定され、

コディを皮切りに3月のワノカカ、ランボヤで幕を下ろす。

何十年もこの周辺の島々に通っているにもかかわらず、わたしは一度も見たことがない。

祭りの時期はどこでもそうだが観光客が増え、宿代や交通費が上がり騒がしくなる。

お祭りは民族文化のあらわれで、そこから生まれる儀式儀礼の品々もたくさんあるのは重々承知なのだが・・・。

あえてそんなときに行かなくてもとつい避けようとする思考回路は修正しなくてはならない。



パッソーラは一年の豊穣祈願のお祭りで、村のなかで二手に分かれて模擬戦を行う。

昔は本物の槍を持ち、死者の出ることが大地に血が捧げられ良いとされていた。

年齢制限はなく子供でも老人でも、勇敢な男は誰でも参加できる。







裸馬に乗る少年、パッソーラに参加するのかな?年下の男の子たちは羨ましそう。





スンバの男は馬に跨るため腰布の丈を短く巻く。頭布と腰布を緑でコーディネート。





パッソーラのための祈りの素焼き馬。