久しぶりの日本での年越し、その年の変わる瞬間、私の歩く範囲の最東端のティモールはまだ一時間前で、私の歩く最西端のミャンマーはではすでに2時間30分経っている。その時間に私は東京にいてみんなの顔を思い浮かべる。ティモールとミャンマーの時差は3時間30分。地球に引かれた見えない線上ではたった3時間30分違うだけなのに、そこかしこの暮らしぶりにはかなりの距離がある。ここにある今とここではない今では随分違う。そんなことをこの一年も、漠然と考えながら布を探して歩きまわりのだろう。

山中に点在する村々を結ぶ山道を下りきるといきなり視界は拡がり、干上がった石ころだらけの河にぶつかる。いく筋かの溝に水が流れ、遠くに近くに村人の歩く姿が見える。ここでは1時間、2時間、3時間・・・5時間・・・、歩くのは食べること同様に生きていくこと、前に進むためには。