「紐で人が集まるのだろうかと心配していましたが杞憂でした」いつも来て下さる方から後日届いたメールの冒頭の言葉に胸が一杯になりました。そんな気遣いで初日に足を運んでくださっていたなんて。小さな小さな会でしたが紐を愛する方々に来ていただき、細い紐のなかにギュッと凝縮された感性や技術と同じような、とことん紐と向き合った濃厚な5日間でした。紐と一言でいっても、織り、カード、組紐、編紐、刺繡紐と色々あり、そして紐とは切っても切れない関係の結びの文化、装身具、袋、履物、衣。紐は2つの物を固定するものですがその方法も結ぶ、繋ぐ、巻く、下げると様々です。そしてそこには必ず美しさが添えられます。また一本の紐から広がる果てしないイメージ、紐を見て紐に触れて零れる皆さんの言葉や反応はとても刺激的でした。専門家の方も来て下さり学ぶことも多く、そのことをお伝えしなければと変な使命感もありました。
幾何の牛抱さんが大切にしている店。繊細で揺らぎのある物に揺れる紐が共鳴し、紐自らが語り始める空間になりました。「人型三十六景 紐物語」紐で強く硬く結ばれたご縁を大切に、紐の結びめには”覚悟”を結び込み、これからもしっかり仕事をいたします。本当にありがとうございました。