苗族の見本裂の展示会をいたします。
貴州省に通うようになり、気になって訪ね歩いた布は、色々な模様を刺した小さな古い布でした。衣装や負ぶい布のための刺繍とは様子の違う布は、訊くと”見本”と教わりました。布に針で刺したなら刺繡見本と考えましたが、集めているうちに刺繡だけではなく、織りのための模様を組織図を描くように布に刺していると解ったときは、ひとり嬉しくて心が踊りました。どれが刺繡の図案で、どれが織物の組織図なのか、そして誰が何のために作り残してきたのか、もっともっと知りたいと思いました。
この布を”母子花”と呼ぶと知ったのは随分あとになってからですが、この字の組み合わせにますます愛しさは増し夢中にされたのです。
貴州省の革一で母子花を機の手元に置いて、経糸に緯糸を掛けて模様を織り込んでいる姿に出会いました。彼女は義母の織った負ぶい布の模様を見本にして自分の母子花を作り、それを見ながら負ぶい布を織っていました。集めた見本裂を見てもらうと「この模様は美しいです」「これは難しい、古い模様です」「この模様は時代遅れです」と嬉しそうに話してくれます。「刺繍も織物もできなければなりません」
黄平・台江・剣河の”母子花”50点、そのほかに刺繍、刺繡の衣装をご紹介いたします。
母と子と花、彼女たちの生活の記録です。ご覧いただけると幸いです。
2019年2月22日(金)~3月3日(日)
幾何 清澄白河
東京都江東区白河3-7-13
連絡先 090-2653-7664
info@nunona.com