ティモールの村でお世話になるお気に入りの食卓風景。左から茹でたバナナにタロイモ、そして
トウモロコシとパパイアの葉のお粥です。バナナはインドネシア語ならピーサンでティモール語だとウキ、この順番でこれらの言葉を並べると、タロイモはウビで”ラクハウ”、トウモロコシはジャゴンで“ぺナ”そしてパパイヤはインドネシア語でもパパイヤで現地では”ウカスイノオ”。
バナナやタロイモは東南アジアを起源としますが、トウモロコシは大航海時代に中南米からスペイン人によって運びこまれたもの。あれっパパイヤは・・・と思い調べてみるとパパイヤはメキシコ南部から西インド諸島原産でやはりスペイン人に発見されて他の熱帯雨林の島々に広がったと知りびっくりします。パパイヤのない熱帯の風景なんて考えてみたこともなかったのですから。村の人々は自分たちの日常の食生活をちょっぴり恥ずかしく感じているようですが、私にとってはなによりもご馳走です。

ただし、ぼやきが一つだけあります。それはこの薄茶色の砂糖たっぷりのお茶です。お茶はインドネシア語でもティモール語でも“テ”で、これは当然英語の”ティー”を語源とし、本来ティモールにはお茶を飲む習慣はなかったと察することができます。村に入るときはお茶、コーヒー、砂糖、噛み煙草に石灰など、村にはなくて、みんなが毎日必要なものを買って手土産にします。わたしは食事の時は白湯でいいと、そして歯が痛いから砂糖もいらない、と伝えるのですが・・・。テーブルに置かれた飲み物はうっすらと薄茶色で、口に含むとほんのり甘いのです。用意してくれた女性の顔を見ると彼女もこちらを見つめてにっこり。「白湯だなんて、お茶にお砂糖を入れないなんて、可哀想過ぎる」
白湯を飲みながら、そんな日を想います。