TEXTILE DIVER 布を探しに

布につながるすべての感覚をひろげて 

「モンゴロイド 美しき布の道」ギャラリー集 高砂

刺繍で埋め尽くされたおんぶ布のなかで揺られて、歩行のリズムをたっぷり味わいます。刺繍と紐とカチカチに刺した裏底のサンダルをプレゼントしてもらって、今度は自分のリズムでたっぷり歩行します。

「モンゴロイド 美しき布の道」
ギャラリー集
2022年2月19日(日)~27日(日)
19日、20日の二日間ティモール テキスタイル在廊予定です。
03497D53-AD39-4B9B-BC59-A181126FCDFE.jpg

大きな布の準備を終えてホッ、ちび布ちゃんたちにかかります。ここからもなかなかの道のりです。甘い誘惑で道草ばかりです。

「モンゴロイド 美しき布の道」ギャラリー集 高砂

真ん中は白に縫取織、両側は経紋織の3枚の布を一枚に縫い合わせた男性用腰布です。経糸はみんな大好きな輪状整経で、織りあがったそれぞれの布は輪上のままで繋いでから経糸を切り開きます。
3枚の織物の長さが多少違って、繋ぐときにタックやダーツが入っても房の部分は必ず揃えるのが彼らの美学です。つなぎ目のタックやダーツは体に纏ったときにはかえって巻きやすいかもしれません。
輪のままで繋ぐという考えはなかなか思い浮かばないものです。

「モンゴロイド 美しき布の道」
ギャラリー集
2022年2月19日(土)~27日(日)
A290AF28-4896-4A1E-915F-04ED03445D87.jpg
 「楽しみにしています」「待ってます」「合いに行きます」こんな言葉をいただけば、心も体もポカポカです。嬉しくなってついつい色々並べて準備します。
皆さまもお手元の布をひろげてどうぞあったまって下さい。
お会いできてもできなくても大丈夫、布でしっかり繋がっていますから。
あと一週間、19日(土)からです。

「モンゴロイド 美しき布の道」ギャラリー集 高砂

樹皮の内皮を剥いで叩き伸ばして作る樹皮布は約7900年前の中国南部にその歴史を遡ることができます。そして樹皮布を叩くための石鎚”イケ”の出土によりおよそ3500年前には海を渡ってスラゥエシ島に伝わっていたと考えられています。

「モンゴロイド 美しき布の道」
ギャラリー集 高砂
2022年2月19日(土)~27日(日)
F60AE986-6194-4CE9-B8BC-B5479EF3B6E8.jpgIMG_4980.jpg

スラゥエシ島では樹皮布を叩くための石鎚は”イケ”と呼ばれ、その先のティモール島では糸を紡ぐ木の紡錘が”イケ”です”。
そしてそのもっと先の南太平洋に浮かぶ島々サモア、ニューギニアなどのにも”イケ”と呼ばれる道具があり、それは樹皮布を叩く木槌です。樹皮布は”タパ”という言葉で広く知られていますが”タパ”はポリネシア語の土語に起因しています。
違う場所に同じ呼称の道具があります。人々の歩いた道を行ったり来たりしながらぼんやり描きます。
晴れの日も雨の日も雪の日も、こんなことばかり考えながらぼんやり。
2月19日(土)20日(日)の二日間、ぼんやりとお待ちしています、どうぞ宜しくお願いします。



「モンゴロイド 美しき布の道」ギャラリー集 高砂

東南アジア本土、ベトナム中央高地に暮らすジャライの経紋織と島嶼アジア東端に浮かぶティモール島アトニの経紋織です。どちらも筬なしの腰機で織られています。そしてどちらもオーストロネシア語族です。

「モンゴロイド 美しき布道」
ギャラリー集 高砂
2022年2月19日(土)~27日(日)
am11:00-pm6:00 
IMG_4952.jpg

布を探して随分長い間ウロウロしていますが、けして行き当たりばったりではありません。でも同時に現地に入ってからはまるっきり成り行き任せです。人との出会いや天候の変更で一日の計画も行先もコロコロ変わります。
大昔に台湾からまずはフィリピンに渡ったと考えられているモンゴロイドを祖先に持つオーストネシア人も当てずっぽに船を漕ぎ出したわけではありません。いままでの知識と経験をもとに新たに自然の情報を集め海の先を目指したのです。そのあとは海と空に身を任せます。

布の準備は成り行き任せで進んでいます。あと10日、成り行きを見守ってお出かけ下さい。
どうぞ宜しくお願いします。



「モンゴロイド 美しき布の道」ギャラリー集 高砂

展示会のお知らせです。
2年前の2月、インドネシアから帰国してギャラリー集での展示会がありました。その直後から世界は今のような不安定な状態におちいりました。2年が過ぎて2年ぶりのギャラリー集での展示会です。
IMG_4909.jpg

「モンゴロイド 美しき布の道」
2022年2月19日(土)~2月27日(日)
am11:00 ーpm6:00 

2年間現地を離れたことで、いままで歩いて見て触れて、胸のあたりに深く畳まれた思は、いま居る場所で遠い時間への移動を申し出ます。
島嶼アジアの東の隅っこに浮かぶ島、ティモール島の布に出会ってから知りたいことはずーっと同じです。どうしてここにこの布があるのだろう?
ギャラリー集で布をひろげて、布の向かうこの先の道も知りたいのです。



喜びのからだ

西ティモールの主要民族、アトニ人の婚姻に関する慣習には、結婚が成立しても花嫁に値する婚資がその時払えきれなかった場合、それは花嫁の実家への負債として花婿の子孫に受け継がれます。
この日、すでに亡くなっているお祖母ちゃんの婚資の支払いが終えたことを祝う儀式が行われました。この負債を背負い支払いを終わらせたのは、お祖母ちゃんの孫にあたるわたしの知り合いの男性で、一族は泣きながら完済できたことを喜んでいました。もし孫の代で終わらすことができなければ、曾孫の代に引き継がれ、それは我が子の負担になることを意味します。また自分たちの体には祖母ちゃんの血が流れているのに、いつまでもお祖母ちゃんの実家に借金を抱えたままではご先祖様に面目が立ちません。
踊り

一連の格式ばった儀式は終わり、茅葺のロポの下に椅子が並べられ食事の用意がされます。ゴンが打ち鳴らされれば、もう黙って座ってなんていられません。ゼッケン23番こらえきれずにぴょんぴょん踊り出します。彼女の表情も体も喜びで弾けています。

布の展示会に小さな男の子がご両親と一緒に来てくれ布に触れながら話をしていると、突然ぴょんぴょん跳ねだしました。「嬉しくなると、スキップするのです」母にっこり。
飛んだり、跳ねたり、スキップしたり、嬉しいとき楽しいときには細胞がぴょんぴょんして体もぴょんぴょんします。布のまえでいつもぴょんぴょんしています。

2006年7月14日

織りをつなぐ娘

早朝訪れた村では、母と娘が並んで腰機で織りをしていました。母の腰機には通常サイズの長さ約1メートル、幅40センチ前後の経糸が掛けられ、男性用の腰布を織っていました。その隣で長さ約60センチ、幅10センチ前後のわずかな経糸を手前棒に掛けて腰で支え織りをする娘は、織りを学びながら父親のための腰帯を織っていました。このちっちゃな機を作ってくれたのはお父さんです。作ったといっても、短い木の棒が数本、経糸と垂直に並んでいるだけですが、この仕掛けがないと織りはできません。

約4000年前、オーストロネシア人が台湾を出発して、その先にある島々に船で乗り出したとき、この織物の技術も一緒に運んだといわれています。その4000年の間に何が起こり何が起こらなかったのか?

「あれっ、学校は?」
「頭が痛いからお休みしたの」

彼らが最初に海を渡ったときからいまでもこうして繋がる織りの技法を母から伝えられ、この先へと取り結んでくれる娘がいます。

織りの少女