TEXTILE DIVER 布を探しに

布につながるすべての感覚をひろげて 

ティモール スタイル

月の満ち欠けに象徴される変化と成長を示した銀の円。これを胸元に飾ることは勇気と栄光の表れでした。
銀の円は身体の動きに合わせて光を受け輝き、帯や腰布の端を飾る糸の房は身体の動きに合わせて空に震えます。
光の力、風の力、そして目には見えない祖先の力が輝きと震えの中によに呼び込めれます。

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檳榔袋 色々

綴れ、縫取り、捩り織りなどの様々な技法を併用し幾何学模様を織り込んだ西ティモールの檳榔袋。袋の口や周辺にはビーズ、子安貝、金属、コイン、動物の毛が飾られひときわ華やかな姿になっています。
檳榔袋は最初から袋のサイズで織られ、織りあがった布を二つ折りにして縫い合わせ紐を付けます。これらの織りの技法は機に掛けた経糸に指先で緯糸を一本一本を織り込んでいくことから経緯の交差で繊細で多様な装飾模様の表現が可能です。

現地で蒐集して持ち帰った布々はいつも展示会優先で準備を進めていくので「要確認」と日付別に収めて保留にしていた宝箱を開きながら整理中です。織手たちがこの檳榔袋を織るために費やした時間には到底及びませんがルーペを除きながら亀の歩みで確認中です。オマケに開けた箱からは煙がモアモア出てきてお祖母さんに、、、。


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ババグーリのエプロンとティモールの紐

ババグーリ新コレクション、コットンリネンのエプロンに機能と装飾を兼ねて配して頂いたティモールの紐。本来は男性用の檳榔袋の紐として母や妻により織られてきた紐です。今では市販の袋や鞄にそのポジションは奪われ、ティモールでの紐の活躍の場はほぼ失われてしまいました。
檳榔袋は袋としての機能だけではなく、慣習として袋の携帯は子供から大人としての男性社会への参加を意味していました。道具としてのエプロンも、民族衣装では正装、儀式儀礼に欠かせない象徴としての飾りエプロンもあります。
手紡ぎ木綿を藍、茜、鬱金などの自然の色で染めて織った紐。檳榔袋の紐からエプロンの紐として新しい紐の使命を果たせるのは紐も人も嬉しいのです。
人と物の信頼関係から物は再び語り始めます。ちっちゃな声なのでよーく耳をすまして。いいことたくさん教えてくれます。


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インドネシアの木彫

春ですから、床の割れ目からニョキニョキと種々雑多、インドネシアから運んできた木彫が逞しく生えてきます。目を閉じて思い浮かべる村の風景はいつもこんなかたちが織りの近くにあります。身の回りも頭の中も、こんなあんなニョキニョキ賑やかです。春ですから。

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割れ目

中国雲南省彝族の掛布はあちこちが破れ、大きな穴、小さな穴が散りばめられています。存在としての糸の味、色の香、織の感に加え、破れ目は布の人の「脆さ」「儚さ」を漂わせ連想させます。このままの状態でも良いのです。でも破れ綻びを繕わないままでおくとゆっくりとですが布は破壊の道を進みます。
手をかけて修理して少し時間を戻してあげて、またここから時間の加飾による変化を待ちます。最後に解けている15㎝ほどの繋ぎ目を縫い合わせれば修理を終わらせれるのですが、割れ目からが色々なモノが出たり入ったりして、綴じ合わせることを拒みます。
「要修理」と書かれた棚に、そのまま戻します。
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押し布帳

糸のかたちも失って塵になってしまっていれば、諦めもつくのですけど、、、
開いて挟んだ頁の絵と挟み込んだ布の形と柄から、またまた物語がはじまりそうです。
和紙は滑らずにしっかり糸や布を吸い付けてくれ、古く柔らかくなった和綴本は全頁に布を挟んでパンパンにしても平気な顔で全てを抱えてくれます。これで安心して糸屑も布屑も集められます。
押し布帳、パンパンに膨らんで愛おしさも膨らみます。

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トルソーシリーズ

トルソーに巻き付け紐で結んだ衣裳は解くとすべて一枚の布に戻ります。それぞれの布は西ティモール、中国貴州雲南省、ラオス北東部の民族染織で、実際の装い方とはまるっきり違いますがすべては身に付ける布として継承された技術と形状です。体に合わせて縫製しなくても、布は体を囲んで形になります。壁や床にひろげる時とは異なりトルソーでの布の組み立ては、民族染織の歴史が人々の着ることに魅せられた歴史であるという当然のことを強く意識させられます。ドレーピング、立体裁断、仮縫、、、着ることに憧れて学んだトルソーとともに、またまた出発点に戻ります。
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