TEXTILE DIVER 布を探しに

布につながるすべての感覚をひろげて 

旅と言葉

一回の布旅でどれだけ多くの人のお世話になるでしょう。

それが初めての訪れる場所であったなら、

言葉の通じない国で道を尋ね、宿を探し、食事を注文し・・・布に辿り着く以前の、純粋な旅の感覚を全身に刻む。

道を尋ねられた人々は「言葉も出来ないのにここに来るな」とは言わない、

その代わり、広げた地図を指差し道を場所を教えてくれたり、たどたどしい発音で繰り返す地名に辛抱強く耳を傾けてくれる。

時にはそこまで案内をしてくれることも良くある。



それが訪れたことのある場所ならば、

言葉の通じない国で前は知らなかった新しい道や風景を横切り、宿や食堂や道端の物売りのなかに顔見知りを見つけると、

大きな笑顔で迎えてくれる。



行く場所のあること、そして知っている人がいることのなんて幸せなことでしょう。





民族の数だけ布があり、音があり、言葉がある。どこに行っても言葉は通じないのだからどこでも行ける。



言葉は時に、重ねれば重ねるほど伝えたい思いとは違う方向に進んで行ってしまう。

言葉の聞こえてこない心地よさ、それはただの音として意味を持たずに景色の中を流れてゆく。

言葉が聞こえてきたとたん、夢から覚めるように現実に引き戻される。













California,1990 P6

Matt Mahurin



TWIN PALMS PUBLISHERS 1999