TEXTILE DIVER 布を探しに

布につながるすべての感覚をひろげて 

布を探して~ミャンマー~

ミャウウからボート乗り場のあるネジャ村まで馬車で一時間。

ここからネモ川を上って村に向う。この地域への外国人旅行者の立ち入りは2000年に始めて許可され、情勢により一時閉じられたこともある。

ボートに乗って3時間、シャン族のパンバオ村に到着。

船着場から村に続く垣根には白にベージュの縞模様のシンプルな3枚接ぎの手織り布がそれに良く似た工場製品の布と一緒に日干しされている。



顔の写真を撮らせてくれた、美しい蜘蛛の巣文様の刺青を顔に持つ女性に「布はありますか?」と尋ねると家に招き入れてくれる。

高床式の簡素な家は、床も壁も透けていて外と内との境界は曖昧だ。

籠、素焼きの水甕、プラスチックの袋、壁に無造作に掛けられたシャツやズボンの古びた洋服はここが最後に流れついた終着点のように山積みになっている。

そして長い間使われずにただただ同じ場所に片付けられることもなく放置された蜘蛛の巣の掛かった紡錘車。

彼女は日々肌掛けとして使っていると思われる2枚の布を拡げ、それは使い込まれ、接ぎがあり、端は擦れて、

「この布はとても丈夫で20年30年40年50年と使える」と教えてくれる。

その古びた布と分けて丁寧に畳まれている布が目につきそれを指差して「見せてくれますか?」と聞くと、

「これはお客様用の布で我家にはもうこれしかないのです。なのでこれをお譲りすることはできません。今ではもうここには木綿はなくなりました」

木綿を栽培して生活のための布作りは50年くらい前には終わってしまっているようだ。

垣根に掛けられた擦り切れた布はどうやら50年以上前に、女たちがまだ顔に刺青をしていた頃に織られたもののよう。

身体的・精神的な苦痛に耐える力とモノを産み出す力は絡み合っているのかも知れない。

強さと美しさが同じであるように。