TEXTILE DIVER 布を探しに

布につながるすべての感覚をひろげて 

ミャオ族の刺繍

一瞬にしてぐっとからだに染み込んでくる布がある。

出合った途端に周囲の景色も音もどんどん気薄になって、違う世界に迷い込んでしまったような・・・。

眼で見て、手で触れ、心で感じ、言葉では“美しい”になるのだがその反面なにがこんなに訴えかけてくるのかと不安にもなる。





写真の布は中国貴州省に住むミャオ族の刺繍部分。

小さな刺繍布は肉眼で見てもとてつもない凄まじさを放っているのだけど、

ルーペでのぞくと、コードで輪郭を刺してその内側にクルクルと巻いた糸がぎっしりと立体的に詰まっている。

刺繍のはずなのに蠢き・・・活きているような。



細部のこの尋常ではない刺繍の技法は

ダブル ツイスト ノットステッチ(double-twist knot stitch)と呼ばれ、

中国語では打仔繍(ダジジュウ)と教えられた。



糸はクルクルと針で巻いて形が整えられ、それを刺繍してゆく。

写真を撮り拡大することでその表面を覆う刺繍の正体は明らかになり、

不安なまでに“美しい”と感じるのは、高度で繊細な技法と技術と人のモノを作ることにかける時間と気迫のあらわれと狂喜する。

その反面にまた新たな不安がフツフツ湧いてくる・・・。



「もう、布も人もいなくなってしまうかもしれない・・・」



せっせと布を探して徘徊するのは・・・間違いなくこの強迫観念にかられているからだろう。