TEXTILE DIVER 布を探しに

布につながるすべての感覚をひろげて 

カンタと刺子 ー日本民藝館ー

ベンガル地方と東北地方の針仕事ー2014年9月9日(火)ー11月24日(月・祝)







本日から開催の「カンタと刺子」一足先に昨日内覧会を拝見した。

作品一点一点の素晴らしさはもちろんだが、

人生をかけてカンタを、布をいまも蒐集しつづける岩立さん個人の情熱の前に、

自らの身を正す。



匿名の女性たちが一針一針刺したカンタには

ある種の執着と刺した本人にも理解不能なのではと思える、

人の心と技を超えた何かが蠢いている。

表面から眺める静かな個性とは対照的に、

布のなかに入り込んで行くと何重もの糸がまるで地層のように

その年月を語ってくれるだろう。

それらを引き寄せ蒐集するにはすべを受け止める覚悟と布と対等の力を必要とする。



岩立さんから頂いたご案内のお手紙には、

「大事な展案会の前に、インドの空気を吸い、友達に会えたのは幸いでした」と書かれ、

この言葉からも、何十年もインドに通っているにもかかわらず

展示会直前にカンタの生まれたインドの大地に自分自身を再び晒し更新することで、

それは儀礼的行為でもあり、またそれによって

日本民藝館に展示された岩立宏子カンタコレクションは見事に"今の時間"に軸を合わせた。





同じ布を扱う者として、もちろん足元にも及ばぬが

どこまで布を背負う覚悟が出来ているだろう。

そしてティモールをいつも更新していかねばならない。