TEXTILE DIVER 布を探しに

布につながるすべての感覚をひろげて 

石 ~イヴ・ボヌフォア詩集~





おいでよ、低声でおまえにいいたいのだ

私が思い出す子供、

他の諸々の生から

じっと離れたままでいる子ども。



あの子は朝になっても

木々のなかで、世界を幾つにもしてあそぶ

他の子らに加わりもせず、

砂浜を横切って

もっと光のあるほうへ走ってゆきもしなかった。

ご覧よ、でも、彼は砂丘の下の道を

辿りつづけたのだ。

アザミと海とのあいだの

足跡がその証拠だ。



そして その傍らに

見知らぬ一人の女友の

もっと大きな足跡が 空を映している水を

いっぱいに湛えているのが見えるだろう。







イブ・ボヌフォア詩集 P49 「石」

清水茂 編・訳

小沢書店