TEXTILE DIVER 布を探しに

布につながるすべての感覚をひろげて 

中央スラゥエシの石槌 「イケ」

樹皮布はインドネシア、ポリネシア、東南アジア、中南米、アフリカの各地で製作され、原料はカジノキ、パンノキ、ベンガラぼたいじゅなどのクワ科の内皮を使用している。

中央スラウェシでは内皮を叩いて伸ばす道具を現地の言葉で"イケ"と呼び、この呼称は樹皮布製作の盛んなポリネシア語に由来する。

中央スラウェシでは木槌の"イケ"と石を籐で巻いて持ち手にした何種類かの石槌の"イケ"が使用されている。

木槌のイケは製作過程の最初の工程で使われ、次の段階からは3種類以上ある石槌のイケが用いられる。粗い溝入りの重い石槌イケから繊細な表面のイケへと持ち替えられ作業が進行する。

樹皮布製作の行われているほとんどの地域では木槌が用いられ、中央スラウェシのような石槌はマレーシア、フィルピン、中南米で先史時代のものが発見されているという。

写真のイケはグンバサのパンデレ村で見せてもらったもの。持ち手にはゴムチュウブが巻かれプラスチックの紐で補強され、そんな異物と融合された石は、いまも仕事をしている。





参考文献

布と儀礼 ーインドネシアの精神世界ー

第4章 タパ文化の変容ー 中部スラウェシにおける樹皮布の製作ー

太田晶子

光琳社出版 1997年