TEXTILE DIVER 布を探しに

布につながるすべての感覚をひろげて 

ロンボク ササック族

バリのパダンバイ港からロンボク島のレンバーまでは90分間隔でフェリーが出ている。所要時間約4時間のロンボク海峡を渡る旅、この海峡には見えないウォーレス線が引かれている。ウォーレス線は博物学者ウォーレスによって1868年に発見された生物分布の境界線でロンボク海峡を隔て東と西で動植物相が変わる。一万七千ともいわれる島々からなるインドネシアはその島ごとに独自の文化を形成する民族が暮らし宗教も異なる。西から東に向かって横断してくるとスマトラ、ジャワのイスラム色は、バリに入るとバリビンドゥ教に一変する。ウォーレス線を越えてロンボクに入ると、また何か違う雰囲気は体で顕著に感じる。

ロンボクの主要民族ササック族はワックトゥ テルと呼ばれる原子宗教を信仰していた。その中心は三位一体の概念で太陽、月、星を象徴する。1965年には政府の圧力によりイスラムに改宗はしたが、その根底には原始宗教が色濃く残っている。その上にロンボクには隣島のバリ人も多く暮らしヒンドゥー文化も小さな一つの島に共存する。これらの様々な要素は織物にも明確に現れる。偶像崇拝の禁じられているイスラム教であるにも関わらず人型や生きものの模様があったり、またバリヒンドゥーの織物と似ていると感じる布も多々ある。いつの時代でも本来民族文化は交われば交わるほど洗練され進化を遂げる。だだし注意しなければならないのは、しっかりとした基盤がなくてはならない。そうでなければすべての魅力も意味合いも失い、時代のなかで消耗されるモノとなってしまう。



ロンボク島 リンジャニ山周辺に暮らすササック族の"サンパリ ジャラン"と呼ばれる織物。