TEXTILE DIVER 布を探しに

布につながるすべての感覚をひろげて 

織りの道具"刀杼"

ティモールでは"セヌ"、ロンボクでは"ブリドゥ"、日本では刀杼と呼ばれる織りの道具。刀杼は織手の腰で経糸の張り具合を調整する原始機や腰機の緯糸を打ち込む道具で、硬質な木を実に刀の形に削ってある。

「ロンボクでは寝るときにこの刀杼を家の入り口に立てかけて置く」と何気ない話しを聞き、なぜ今までそのことに気付かなかったのかと自分を疑う。女の仕事である織りの道具の形はまさに木刀そのもので、それは充分に護身具になる。

女性の護身具として即座に思い浮かぶのはやはり簪であろう。髪に飾られる美しい装身具の一方は鋭利な切り先になっている。また櫛は古代から魔を払う力があると考えられたいた。

女性にとっての大切な織りの道具は彼女の命も守り、大切な女性の髪をまとめる櫛もまた同じように彼女の命を守る。道具や装身具、モノとヒトの忠実な信頼関係。自分の身の回りを見直してみる。