TEXTILE DIVER 布を探しに

布につながるすべての感覚をひろげて 

こどもたち

とんがり屋根の集落に入ると、新しい訪問客を見つけたこどもたちが思いっきり歓迎をしてくれる。

=こんにちは=どこから来たの=

男の子も女の子もクルクルの目に真っ白い歯がのぞく。

話しをしたり、歌をうたったりしながら村を案内してくれる。



=アメちょうだい=1000ルピアちょうだい=ノートちょうだい=鉛筆ちょうだい=

=アメは持ってないし、1000ルピアはあげられない、ノートも鉛筆もとっても大切なモノなの=

彼らのおねだりを丁寧に断る。

それでも、歩きながら歌いながら、この台詞は繰り返される。あとは知らない顔して聞き流す。



おねだりは、今までに訪れた旅行者とのやり取りの経験から学び、

何かもらえればラッキーで、もらえなくてもそれはそれでオッケー。

青いシャツに短パンの男の子は、一番最初に駆けだして来て、ズッーとわたしの横にぴたりとくっついていた。

おどけたり大笑いしたり、そして=鉛筆ちょうだい=と繰り返す。



みんなに別れの挨拶をして集落を後にする。

他の子供たちはとっくに自分の遊びに戻っていったのに、青い服の男の子ひとりはしばらく付いてくる。

=鉛筆ちょうだい=

わたしは少し強い口調で、

=ダメッ=

今にも泣き出しそうな顔で、わたしを睨みつける。また来るねといっても返事もない。

細い一本道を歩き始める。100メートルぐらい進んでちょっと後ろを振り向くと青い小さな影がまだそこにある。

手を振る、裸足の足は最初に迎えてくれた時と同じように駆けて来る。

ポケットから鉛筆を取り出して渡す。胸の前で、小さな両手でギュッと鉛筆を握り締めている。

さようなら、また来るね。今度は小さく頷いた。



旅のとき、鉛筆を少し多めに持っている。

本当に必要なときのために。