TEXTILE DIVER 布を探しに

布につながるすべての感覚をひろげて 

ベル 西ティモールのワニ模様

ティモールの人々はすでにカソリック、プロテスタントに改宗はしているが、彼らの伝統的な原始宗教においてワニは「天の神」「水の神 」として畏れ崇められてきた。公国制であったインドネシ独立前のオランダ植民地時代には貴族階級の禁制文様とされ、庶民の使用は禁じられていた。ワニが神であることを考えればそれは当然のこと、布の文様はその文様の力を纏うことになるのだから。

原住民であるティモール人は神であるワニを食料としないが、海に近いベジカマでは毎年洪水で家が浸水し、山間部のラマケネンでは強風で再三家が崩壊され、それは誰かが隠れてこっそりワニを殺して食べているから、と人々は噂する。

写真の布は西ティモール ベルの女性用腰衣の裾部分で、丹念に茜の染料で染められた手紡ぎ木綿の糸、布の表情が美しい。そしてその茜の地織りに縫取織で描かれた文様の色彩・形・構成の完成度の高さ、線で描かれた大ワニの中に小ワ二、その上にはまるで体操服姿でアクロバットでもするかのように人が立っている。周辺には幾何学模様や爬虫類がその場を賑わす。これぞティモール。