TEXTILE DIVER 布を探しに

布につながるすべての感覚をひろげて 

宛名書き

展示会のご案内葉書の宛名書き。

左手側に住所帳をひろげ、右手側に葉書を写真面を上にして10枚を一単位として交互に積み上げ50枚の山を作る。

そこから10枚の単位を分け取り、一枚一枚を手元に置いて宛名面に反して書いてゆく。

旅でも愛用の携帯時計は住所帳の上のほうに置いて、宛名を書き終わった葉書はその下に宛名面を上にして積んでゆく。

書き始めは、1時間で80枚、1枚45秒のペースで進み、50枚をひとサイクルとして書き終えると、

背伸びをしたり、からだを捻ったり、首や腕を回して次の50枚の山を作り再び宛名書きをつづける。

100枚終えたところで休憩。

大切な住所はA4のノートに書き込んでいるので、宛名ラベルに印刷というわけにはいかない。

ソフトを買って、打ち込んで・・・とも考えたことはあるのだが慣れない作業を考えると気が重い。

それに詳しくはないけれど、ソフトには決められた形式がありそれに沿うように住所などを打ち込み、それに沿った宛名ラベルしか出来ない。

形式に合わない住所や名前などはないのだろうか?

そこで、勝手な公式を考えてみる。

住所帳は住所を書き加えてゆけばよく、葉書を出すときにはペンが一本あれば済む。

宛名ソフトだと住所を打ち込めばよく、葉書を出すときにはパソコン、プリンター、宛名ラベル、インクがなくては済まない。



公式1

(住所帳)+(ペン)=宛名

とても単純で簡単。

公式2

(宛名ソフト)+(パソコン)+(プリンター)+(宛名ラベル)+(インク)=宛名

多くの要素を必要としこれはなかなか難しい。



もうひとつの公式は時間。

手書きだと1時間で80枚、2時間で160枚、3時間で240枚、

もちろん人間の仕事はこんな単純には進まなく、2時間目はペースが落ち、3時間目はもっと落ちる。

それでもいままでの経験から3時間で200枚は書くことが出来る。

そして宛名ソフトの場合ではパソコンとプリンターはあるとして、宛名ラベルとインクは買い足さなければならない。

ここから一番近い所まで最短でも往復1時間、店に入り品物を選んで購入して何だかんだで30分、

帰ってきてお茶を飲んでちょっと休憩して30分、これですでに2時間経過している。

160枚の宛名書きが出来る同じ2時間の間に、なんだかずいぶん動き周らなくてはならず、

そのあと印刷して、シールを貼ってと使用する道具が多いだけ作業も多い。



もちろん何千枚、何万枚の葉書きを出さなくてはならない規模になるとこの公式は使えない、

それはひとりの仕事の域を超えているから。

わたしの布の仕事を考えると、何千枚単位の葉書の宛名書きをしなくてはならなくなる可能性はゼロに等しいし、

午前中に3時間、午後に3時間で2日あれば切手貼りまで充分に終えられる。

そして等身大の仕事の仕方がひとつの指数にもなっているから。



布の手入れをしている時と似た性質の時間が宛名書きにはある。

名前を見て、顔が浮かんで、お元気かしらと思いながら、ただただ文字を写してゆくことに専念する。

写しているのは住所と名前だけど、なんだか写経という言葉が頭を霞める。



と、手で書くことを自分自身に納得させながら書いているのですけど。