TEXTILE DIVER 布を探しに

布につながるすべての感覚をひろげて 

ハウメニアナの市場

ちょうど陽が昇りはじめたころ、トラックはハウメニアナの市場に無事到着しました。
市場の奥の見晴らしの良い場所には、肩から大きく布を纏った男の人が立っていて、その布は遠くからでも鶏模様がはっきりわかるほど見事な布でした。
ティモールの木綿布は、ひらひら薄く優しく舞い上がるような布ではありません。どちらかというと硬く重々しく地面を這うような布です。
そんな一枚布を紐もなにも使わずに、思いのままに体に纏うのは実は結構難しいことです。体で布を支え、布を気持ちよく体の上で遊ばせなくてはならないのですから。

形になった服を着ることと一枚の布を纏って生活することでは体の使い方や動かし方は違うはずです。そんなことを考えながら私はいま体を鍛えています。といっても筋トレをしているのではありません。ゴソゴソザラついたティモールの布を肩から掛けたり腰に巻いたりして、巻く場所や体と布の隙間や布の重さなどで自分の体にどんなふうに変化が起こるのか、そんな体の感じを見直したいのです。
ものを置き換えれば見た目の感じが変わるように、布の巻き方を変えれば体の感じは変わるはずです。ティモールの一枚布を巻いた人々を見ていると、服を着ている私とは体の動かし方だけではなく、私の知らない体の感覚があると思うのです。

DOVQ9349[1]

東ティモールとの国境付近で開かれるハウメニアナの定期市に行きたいのに、その前日に泊まったエバンからは公共バスはないと知らされました。市場で商いをするブギス人に頼み込み、トラックの荷台に積んだ段ボールの間に埋もれ、満天の星空に包まれて進んだ夜の道を思い出しています。