TEXTILE DIVER 布を探しに

布につながるすべての感覚をひろげて 

布の繕い

展示会の布の準備のために、毎日布の部屋で時間を過ごす。

もう何度も展示会を経験した布は、そのたびに輝いてゆくよう。



細長いスレンダー(肩掛け)はティモール島のヌンコロ地方の布で、

ごあごあの手紡ぎ木綿に、けして上手とはいえない幾何学模様が縫取織の技法で経縞の間に織り込まれている。

そしてどうしたらこんな頑丈に腰機で織られた布に?と不思議に思うほどの大きな穴があいている。

なんとも緩むような愛嬌とそれでいて強靭さを思わせる布は、太陽と大地にその身を晒して仕事をする人と共にあったのだろう。

そんな布を今布部屋で手元にしている。



小さな傷であればタテとヨコに糸を入れればすむが、こんな大きな穴ではそうはいかない。

この穴を繕うための協力者を探さなくては。

その役目を申し出てくれたのはスマトラ島のミナンカバウの端裂で、細い糸の繊細な織りは藍に白の格子が入り、

もう手をかけてあげることが出来ないほどボロボロになった小さな姿には、老いて端裂になってもなお洗練された上品さがあった。



「あなたのような華奢な布はどのような暮らしをされていたのですか?」とティモールの布が問えば、

「あなたのような純朴な布はどのような島でどのような方と暮らしていたのですか?」とスマトラの布は問い返す。

そんな問答が聞こえてきそう。



布を、糸と針の力をかりて繕う。

ツクロウヌノとツクロワレルヌノでツクラレル。