TEXTILE DIVER 布を探しに

布につながるすべての感覚をひろげて 

村への案内人

西ティモールのソエに長期滞在していた時には、毎朝起きると目を見張るような模様の腰布を飄々とした顔で巻いた男たちが、お世話になっている家の前で入れ替わり立ち代わりたむろしていました。
もちろん私がいるのを承知で、何か買ってもらうつもりで来ているのです。毎回面白い布や物
を持ってくる男もいれば、いつも的外れで、それでいて探して持ってくる手間を訴え交通費を要求する愛嬌あるつわものもいます。お互いの好みもありますが感覚の良し悪しはどこでもあります。
そして彼らこそが私の案内役となり、女たちが織りをする自分の村へと連れて行ってくれたのです。
もちろんベモ、バス、オジェックの交通費、タバコ、ビンロウ、食事代、家族のお土産はわたし持ちですが、彼らと行く道のりには本物のティモールの生活がありました。村で世話になり、同じものを食べ、話しを聞き、布や物の互いにとって実のある取引は関係をより深くしてくれたのは間違いありません。
今でこそ布の展示会をさせていただいていますが、当初は帰国の度に布を担いで店やギャラリーをまわり、その長年の取引の延長線にいまの仕事のかたちがあります。暮らしかたや行商、彼らから学んだことはたくさんあります。
村への道のりも、仕事の道のりも、山あり谷ありですが、それら風景は布をひろげるたびに思い出されます。

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