TEXTILE DIVER 布を探しに

布につながるすべての感覚をひろげて 

たて糸とよこ糸

織物は、

たて糸とよこ糸の、きわめて限られた制約のなかで無限と思えるほどの表現の可能能を持って広がってゆく。

たて糸は固定され、そのたて糸のなかをよこ糸が潜り、よこ糸を一本一本と打ち込むことで、

糸は布へと目に見える時間の速度で明らかに変化してゆく。



「織る」ということは、よく妊娠から出産までのイメージと結び付けられて考えられる。

それはゼロであったことが時間の経過と共に、体内では胎児が成長し、機の上では織物がすすんでゆき、

女性だけに与えられた生命の創造の神秘は「織り」におなじように宿されてゆく。

どちらも戻すこともやり直すこともできない、そのゆだねた、ゆだねられた大きな流れにただただ漂う。



たて糸によこ糸を打ち込む、織女はその一本のよこ糸をためらうことなく刀杼で打ち込むだろう。

与えられた命のたて糸に、出会いのよこ糸を打ち込む、限りない可能性に向って。