TEXTILE DIVER 布を探しに

布につながるすべての感覚をひろげて 

刀杼

ティモール島、アトニ人の言葉で“セヌ”と呼ばれる刀杼。

刀杼とは、よこ糸を打ち込むための機の道具で、硬質な木を削り出したカタチはまさに木の刀のよう。



腰機での織りは、たて糸の掛かった機の一方は地面に打ち込んだ杭や家の柱に固定し、

もう一方は地面に足を投げ出した姿勢で座り込んだ織手の腰に回した腰帯で機全体が支えられる。

たて糸の引き上げや張り具合、よこ糸の挿入と刀打の打ち込みなど、

すべての操作は機とひとつになった織女の身体と感覚によって行われる。



鋭利な刃物のように黒く光る刀杼を空中で右手に構え、地面と水平にたて糸に滑り込ませる。

その姿には武道家の舞のような気迫と緊張があり、その後に“ドンドン”とよこ糸を打つ重たい音が続く。

糸一本分、織物は前に進んだ。



織るって何だろう?モノを生み出すってどうゆうことだろう?

刀杼はその答えを知っているのかも。