TEXTILE DIVER 布を探しに

布につながるすべての感覚をひろげて 

メリークリスマス

ティモール島にキリストの教えが広まったのは、16世紀にポルトガルの宣教師が上陸したことからはじまります。それに続いてオランダの宣教師によってプロテスタントが伝わりました。スマトラやジャワなど、歴史的に早い時期からアラブ社会との交易があった島々ではイスラム教の影響を強く受けてきましたが、ティモール 周辺の島々ではヨーロッパ人に出逢う前は土地に伝わる原始宗教を信仰していました。
キリスト教への改宗に伴い失われた慣習も、取り入れられて残った物事も、そして新しく養われたセンスもあります。
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思いっきりクリスマスデコレーションをした部屋。赤ビーズの首飾りに緑のシャツ、腰に差した山刀に鉤模様の腰布でバッチリなクリスマスコーディネートがよく似合う、ちょっと若い頃のミサおじさん。(2013年12月 アマナトゥン)


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熱帯の雨季のクリスマス、冬の大雪のクリスマス、どこにいてもみんなにメリークリスマスです。(2017年12月 モロ)



「紅白」夢の競演

文化学園服飾博物館で12月9日(金)からはじまった「紅白」夢の競演。この時期ピッタリの機知に富んだタイトルに痺れる。勝手に絶対白組応援と心に決めて、全身白を纏い初日に応援に駆け付ける予定が父のことで急遽東京を離れることになり、楽しみは先延ばしに。
さまざまな国の赤と白、さまざまな場面の赤と白。冬の北海道では白い雪と赤いシャベルの共演が開催される。人形模様にも挑戦。さまざまな協演がはじまる、そなん年頃です。

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鳥模様の匙

“ロポ”と呼ばれる茅葺の寄り合い場に水牛の角に鳥模様の匙がぶら下がっているのを見つけて嬉しくならないわけはない。鳥はティモールの織物や木の造形にもよく登場する模様で
村人は鳥の動きにある時は良い知らせ、ある時は悪い知らせを読み取り、また祖先との掛橋になってくれていると考えられている。
鳥模様の匙は特に葬送儀礼に使用され、それは死者は鳥に乗って安全に祖先の元へと辿り着くことを意味する。
最近では飛行機という金属の塊も空を飛ぶ。それに合わせて金属の匙も鳥模様の匙と同じ役割を担当している。
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2年半ぶりのティモール

2年半、すっかり眠っていた機能がティモールの大地を踏んだ途端に目覚めます。熱帯の光は毛穴をこじ開けて細胞を突き刺し、インドネシア語、クパン語、ティモール語の混じった会話が両耳から注がれ一気にチャージ完了。懐かしい顔に頬を濡らし、インドネシア独立記念日を笑顔で祝います。布を探しにテキスタイルダイバー潜水中。潮の流れに魚のようにただただ身を任せます。
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2019年7月6日の一枚

西ティモール、ビボキ山間部で出会った一枚の織物。彼女の叔母にあたる人が嫁入り時に織ったとされる男性用帯。地織りの白も縫取織りの赤黒黄の模様もすべて手紡ぎ木綿で、海の向こうから渡ってきたガラスビーズが房の先っぽで揺れています。この日はこの布一枚。一枚の布のために歩んだ道のりをいつも大切にしていたいのです。
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必要なのはどこままでも歩ける丈夫な足と、どこでも眠れる分厚い瞼、そして布のようなしなやかな対応。ラジオからは“BREAK MY SOUL” 自動的にかたちだけの腹筋体勢に入ります。